魔術・法術の類を使用せず、遺伝として伝える超能力をもって魔を退ける退魔の一族。
本来一代限りの超能力を、近親での交配を繰り返す事により色濃く遺伝させる事に成功。同時に暗殺術を磨き上げる事によって使い捨てだった超能力者を生還させるに至り、かつ身体能力を人間の限界レベルまで鍛え上げた。
結果としてヒトの退魔意思を特出継承する一族となる。その為なのか、彼等はヒトでないモノに対して激しい殺害衝動を抱く。或いは「退魔意思」とはこの衝動を指すのかもしれないが、詳細は不明。
元々志貴はこの一族の長男で唯一の生き残り。彼の父である最後の当主、七夜黄理の代で退魔という生業から離れたが、その技術だけは伝えられていた。
敵が生物として自分達よりもはるかに優れている為、暗殺者としては身体能力が最も充実している時期を主として活動し、子供はかなり若いうちからもうけて世代交代を早めに行っていた。
当主は「御館様」と呼ばれ、その代で最も優れた使い手がその座につく慣わしであった模様。
つまり志貴はあくまで当主の長男であっただけで、次期当主となる事が確定していたわけではない。もしも同世代に志貴を上回る使い手が居れば、恐らくその人物が当主となっていたのだろう。
その超能力はありえざるモノを視る、というものであったらしい。具体的に何が視えるのかは人それぞれであったようだが、時南先生の口ぶりからして特に淨眼が多かったか、或いはそれが最も望まれていたのかもしれない。
超能力・優れた暗殺術・高い身体能力を駆使する事によって、退魔師が後手にまわる『混血』を相手に人の身でありながら暗殺を実現し、退魔の暗殺者として長く頂点にありつづけた。
この七夜と浅神・巫淨・両儀という一族は『混血』にとって天敵とされる。
しかし他3家は不明だが、七夜は純血の『魔』とは相性が悪い模様。とはいえそちらは退魔組織の主戦力たる退魔師達の専門であるのでうまく分業できていたのだろう。七夜は陰陽の理が通じぬ場合に呼ばれる切り札であった。
ちなみに黄理の前の代から刀崎と付き合いがあったらしい。
人目につくことを避け、昼間はあまり外を出歩く事もなく山奥でひっそりと暮らしていたが、10年前に彼らを危険視した遠野槙久が私兵と軋間紅摩を率いて襲撃。ある程度善戦はしたものの、紅摩の暴走によって志貴を除き全滅させられた。
元々超能力者を生み出す家系は異端として迫害されていたところ、七夜は自分達の有用性を退魔組織に示す事によってその地位を確保していた。
よって退魔から離れ、組織の庇護を受けられなくなってしまった事も彼等が滅びた事の原因のひとつといえるだろう。その結果として槙久らの襲撃をあっさり許してしまったからである。
七夜の人間が編み出したと思われる混血暗殺の為の技術。
その動きは特徴的であり、壁や天井をも足場とする三次元的移動、常識では有り得ない姿勢からの移動及び攻撃、いずれも人間の限界レベルの速度でなされる。
二本足の人間が蜘蛛の如き動きを、しかも獣の速度でなす様はまさしく奇怪にして奇跡的光景であると思われる。
静と動のメリハリがあり、静止状態からの急加速、高い速度を維持したままでの急激な方向転換などによって、相手には実際以上に速く見える。よって並の動体視力では捉えられる事もなく、瞬時に死角へと飛び込む事を可能とする。
気配を消す技術も優れており、黄理に至っては隠行に優れた式神に匹敵するレベルで、相手にとって致命的な距離にまで易々と接近し、瞬殺した。
志貴のナイフ参照。
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