RSD(Retinal Scanning Display) あーるえすでぃー
「Retinal Scanning Display」は和訳すると「網膜走査による表示装置」。
半導体レーザーを網膜に直接照射する事によって映像を表示するシステムであり、故に映像出力用のディスプレイを必要としない。
現実に存在していて弱視の人の補助や医療に役立てられているらしい。医療機器では手術中の執刀医の視界に重なって患者の諸情報が半透明のウインドウ内に表示される。むしろこの方が集中できて良いんだそうな。
現時点でここまでできるのならば2017年時点での最新技術が空に用いられているレベルだったとしても無理は無いかもしれない……?
これによって映し出された映像である空はRSDの設備の無い場所には出現できないという事になる。が、LeMU内の全部屋・通路の天井には半導体レーザーの出力装置が設置され、レーザー光線を反射させるミラーも壁・天上・床の構造材に埋め込まれている。
よってLeMU内に限れば事実上映像の出力が不可能となる「死角」は存在しない為、空は何処にでも現れる事ができるわけである。
一般的なホログラム画像は背後の物体を透過するが、周囲の背景との合成画像を常に高速作成してそれを送り続ける事によって、透過しない映像を表示しているとか。
投影する映像の位置修正は、左右対になった音声変換機の位置を基準とした計算に基づいて常に行われている。
同時に眼球の位置・動きも計測されており、観測者が移動しても映像は常に同じ場所に存在しているかのように見える。
なお、空本人に限らず様々な映像を見せる事も可能であるようだ。やろうと思えば科学忍法の演出なんかもできる。しかしLeMUそのものは実体として存在していた模様。
ちなみに網膜を焼いてしまえる程にまでレーザーの出力を上げることも可能。この攻撃に武は苦しめられた。
I am YOU あいあむゆう
優が少年に言ったセリフ。「私はあなた」と「私はユウ(YOU)」をかけたシャレなのだが、優春が同じ遺伝子、同じ「ユウ」という名を持つ優秋に対してこの言葉をかけると深い。
EI あい
中性浮力式エレベーター。床下に設置されたバラストタンクに海水を注入・排出する事によって浮力をコントロールし、LeMUの側面に設置されたレール上を昇降する。
背景画を見るとわかるが水面下1階(エルストボーデン)までは繋がっていない。
油揚げみゅー吾 あぶらあげみゅーご
武がみゅみゅーん(レミュール)の着ぐるみにちなんで記憶喪失だった涼権に付けようとした仮の名。
桑古木涼権(かぶらきりょうご)と油揚げみゅー吾(あぶらあげみゅーご)。……第3視点のイタズラですか。
アポトーシス(Apoptosis) あぽとーしす
細胞の計画的、積極的な死。遺伝子には細胞の生死を決定付ける情報が組みこまれており、生存する細胞、死亡する細胞のバランスが調節されている。
偶発的な、外的要因による細胞の死であるネクローシスとは異なり、ダメージを受けていなくてもそれが必要の無い細胞であれば死滅する。
例えば人間の手の水かき、オタマジャクシの尻尾などはコレによってその部分の細胞が死ぬことによって時間の経過と共に自然に消滅する。
遺伝子に損傷が生じた細胞なども周辺に害を与える前にこれによって消去される。
キュレイ種はp53が無力化されてしまっている為ガン化した細胞をアポトーシスに導く機能が通常の人間よりも劣っている。
IBF いーべーえふ
Institute fur Biologische Forschung ※furのuにはウムラウトが付く
和訳すると「生物学の研究所」となる。
水深119mの海底にライプリヒ製薬が建造した研究所で、熱水噴出孔に生息する特殊な微生物(ティーフブラウ)を軍事利用目的で研究していた。
故にIBFに関する情報は極秘事項であり、ライプリヒでもLeMUでもその存在を知る者はごく一部。また、LeMUとはコンピューターシステム上も別管轄となっており、空にも断片的な情報しか知る事が出来なかった。
IBFの研究員は研究所の存在を疑われる事の無いよう、LeMUの職員に成りすまして海底と海上とを行き来していた。IBF〜LeMU間の移動はヒンメルに存在する専用の加減圧室を経由する。
なお、LeMUはIBFの存在をカモフラージュする為だけでなく、ついでに運営費用を補う為の資金調達としても利用されていたらしい。
LeMU同様飽和潜水仕様であり、研究所内は12.5気圧に保たれている。ちなみにこの環境は特殊な細菌の研究には適しているらしい。
Ever17での事件の元凶であると同時に救いの手でもあると言える。
2017年の事故の原因は、ウイルス漏洩が発覚してパニックに陥った研究員の誰かが本来開かれる事のない筈の非常用の扉を開放してしまい、しばらくそのまま放置された事であるからこそ元凶。
そして研究対象が対象なだけに、診療室の医療設備はLeMUの救護室のそれよりも遥かに充実している。元凶であると同時に救いの手でもあるとした理由はここにある。……そもそも元凶である時点で救いも何も無いかもしれませんが。
インゼル・ヌル(Insel null) いんぜる・ぬる
インゼルは島、ヌルはゼロという意味のドイツ語。
その名が意味する通りLeMUの最上層で、洋上に浮かんだ巨大な人工島。海底と地続きではないので浮島である。
港、ヘリポート、LeMUの入退場ゲート、ホテルや展望タワー、病院などの施設があり、アトラクションの類は無いがくつろげる公園として楽しめそうである。
高圧力送風機も設置されているらしい。
ウイルス(Virus) ういるす
DNA・RNAのいずれかを持ち、タンパク質からなる外殻によって覆われた粒子。細胞に寄生する事によって増殖する。
最小の微生物の一種ともされるが、エネルギー源の摂取・生命活動に必要なエネルギーの生成・子孫を残す等といった生命らしい活動を自ら行う事はせず、単体では増殖不可能で、タンパク質に覆われてはいるとはいえ「遺伝子そのもの」である事から生物とは言えないという意見もある。
外界に存在している間は無生物的だが、生命体の細胞内に侵入した瞬間から生物的な活動をする。いわば、生物と無生物の中間的存在といえるらしい。
コンピューターウイルスがウイルスと称される所以も単体では増殖不可能であるという特徴にあるらしい。
たまに混同されているが、細胞に寄生せずとも単体で増殖可能な細菌の類とは異なる存在。
具体的にどうやって増殖するかというと、簡単に言えば宿主の細胞内にDNAもしくはRNAを放出、これを原型とし、細胞そのものを工場として複製を生産する、という事になる。
なお、ウイルス進化論というものがある。ウイルスそれ自体は単なる遺伝子の運び屋であり、その遺伝子が生物にとって有害であれば体内に入った際に病気になり、そうでなければそれによってもたらされた遺伝子レベルの変化が「進化」となる、といった内容の説らしい。
これをキュレイ種とキュレイウイルスの例と合わせて考えてみると面白いかもしれない。
ウムラウト(Umlaut) うむらうと
ゲルマン語、主にドイツ語において母音『a/u/o』が後続のiやeに引かれ、それに近い音へと変化する際に使用される記号。母音となるアルファベットの上に載せられたふたつの横並びの点として表記される。
ライプリヒ側が情報を抹消するにあたって、流石にこのウムラウトを用いた変則的表記までには目が届かなかった為、これを使用するクセがあったライプリヒ社員のチャットログから田中陽一に関する情報を僅かながら得る事ができた。
エアロック(Air lock) えあろっく
内部の気密性を保持したまま、つまり内部の気体が外部へ流出、或いはその逆をさせずに気圧差のある外部との間を出入りする為の装置。
内部と外部のふたつのドアに挟まれた小部屋で、つぐみグッドエンドで武が海中に飛び出す前にいったん留まっていた場所がここ。
エルストボーデン(Erste boden) えるすとぼーでん
LeMUの水面下1階。
水族館風のフロアで、背景画を見てもわかるように壁面を占めるガラスの割合が高い。それ故に最も水圧の低い水面下1階に位置するのかもしれない。同じくそれ故に真っ先に浸水してしまったのだろう。
そして地上との間に存在するこのフロアが完全浸水して水の蓋と化したことが脱出をより困難なものとした。
音声変換機 おんせいへんかんき
通常、LeMU館内はヘリウムガスが満たされている為、直接耳にする肉声は愉快な状態になる。よってこの変換機で正常な音声へと変換している。
空の声はここから出力されており、3Dサウンドの応用で音声が聞こえてくる方向を映像とリンクさせている。
大きさは小指の先程度。鼓膜を気圧差から保護する役割も果たす。
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