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深読み浦島太郎 03/3/29
すっげー久し振りな更新になります。
Ever17においても少しだけ触れられる浦島太郎。この昔話、大抵の場合浦島太郎が玉手箱を開けて老人になっておしまいですが、実はこちらの「浦島太郎のその後」にて語られているように続きがあるらしい。
これ読んで思ったんですが、本編では八百比丘尼に例えられていたと思われるつぐみ。彼女はこの「浦島太郎の続き」においては浦島太郎(武)と再会した乙姫に例える事もできそうな気がしないでもないかも。
また玉手箱は急速に老化、つまり死に近付く事からティーフブラウを象徴していたと解釈できますが、こちらでは全く逆で、武がつぐみから感染したキュレイウイルスを象徴しているという解釈もできそう。武は人間からキュレイ種になってますし、あの後鶴になったという浦島にちょっと通じるものがある。
そしてリンク先の文章を書いた方が異民族との結婚に関する教訓話ではないかと分析してましたが、これも武とつぐみの関係にあてはまると思う。といってもキュレイ種は異民族どころか異なる生命種なわけですが。
更に深読みするなら鶴は千年、亀は万年と言われる通り、完全なキュレイ種であるつぐみとそうではないと思われる武との寿命の差をもあらわしていたり、とか思ったりして。
プロローグで空がホクトの前から消えた理由 03/4/5
プロローグで空がホクトに話しかけるシーンがありますが、そこへ割り込むようにして武を演じる涼権が話しかけてくる。この時、空は驚いたようなそぶりを見せた後、姿を消してしまう。
つまり、空がホクトに話しかけたのは予定外の行動だったのかもしれない。だから涼権が慌ててわりこんだとか。実際彼はホクトに話しかけて来た時に息切れしているし、周囲にいる誰でも良い筈なのにまるでホクトに話しかけないと都合が悪いかのよう。いや、実際そうなんですが、しかしそれを悟られるのもまた不味い筈であったわけで。
一方視点が切り替わって本当の武はというと、少年涼権に対して友人達の事を聞いてる場面でも特に息切れなどはしていない。
ではこの時なんで空は消えてしまったのだろう。この時点での空に全ての記憶があったのかどうかで理由は変わってくるかもしれない。
既に2017年当時と同じ状態にされていたのだとしたら、涼権がホクトに話しかけているのだから自分は邪魔になると、単にそう思っただけだからかもしれない。涼権が現れても知り合いであるかのようなそぶりを見せなかったのは実際その時の彼女にとって彼は知らない人だったからで、一瞬驚いたような表情を見せたのは単に涼権の剣幕に驚いただけだというふうに。
対してあの時点ではまだ記憶をいじられていなかったからなのだとしたら、自分の行動が不味かったと察してすぐさまその場を去ったのだと考えられるかも。驚いたような表情もその為だというふうに解釈できそう。
ただ別にあそこで空がホクトに話しかけても計画は充分修正可能であるような気もしないでもない。だからちょっと自信がないので考察としてアップせずこの雑記で書いてみたわけですが。もしももっとしっくり来る仮説を思いついたらまた書いてみます。
プロローグで空がホクトの前から消えた理由(2) 03/4/8
もうちょっと色々考えてみました。
まず涼権には武と会う前に空と会話した記憶があるという可能性は低そう。何故なら武視点において少年涼権と会話した場面で武が空の姿を見たととれる描写は見当たらない。そしてブリックヴィンケルを3次元世界に重ね合わせる為に、「少なくとも最初は」ふたつの世界の状況を全く一緒にしなければならない。
よってブリックヴィンケルが2017年では「武の視点」を通して世界を見ている事を考えると、ちょっとまずいという事になるんだろうか?
しかしそうだとすると空がなんでそんなヘマをしたのかという疑問が。てことはやはりこの時点で空の記憶は操作済みだったのかも。けど前回も書きましたがこの程度の誤差なら修正可能範囲かもしれないんですよね。……ああ、もしそうだとしたらひとつ考えられる可能性が。
この時ホクトが空と会話しようとしていた事自体ではなくて、むしろその内容。彼が空に聞こうとしていた事柄がまずかったのかもしれない。つまり、彼は憩いの間で待っていた誰かを探していた。それを空に話したら、恐らく計画を知らない状態に有る彼女は人探しに協力しようとする筈。LeMU全体を見渡す「目」を持つ彼女ならば人探しにはうってつけだし。
そんなわけでそこからホクトと空がずーっと一緒に行動したりしてたら、もはやシナリオの修正は不可能に。そりゃ涼権もあわてて会話に割り込みますやね。
件のシーンの空や涼権の挙動の理由に関してあれこれ考えてみましたが、これが一番しっくりくるかなあ?
つぐみは涼権に着ぐるみを着せたのか 03/4/11
ホクトに着ぐるみを着せたのは確実なんですが、涼権の方はどうなんだろう。なんか2017年と2034年で全く同じ行動をとったというのは不自然な気がしないでもないですが。
あ、でもつぐみが両世界で同じ出来事が起きている事に不信感を覚えたのは閉じ込められた後の筈だから……プロローグの時点では敢えて2017年と違う行動をとろうとする理由も無いので、たまたま2017年でも2034年でも同じ行動をとった、という事は有りうるのかもしれない。
他に考えられるとしたら、これまたブリックヴィンケルの仕業、でしょうかね。実は2017年で涼権とつぐみは接触していなかったのだが、2034年でホクトが着ぐるみを着せられた事によって、2017年ではつぐみの行動に関係なく涼権が着ぐるみを着せられた状態になってしまったとか。
つまり、それまで涼権は普通に行動していたのだが、突然パッと着ぐるみあらわれて彼の身に、といった感じで。涼権の方が着ぐるみを着せられるシーンは存在していないのだから彼が必ずしもつぐみに着せられたとは限らないかもしれない。
いやでも、「涼権が着ぐるみを着せられた状態になる」などと現実が書きかえられたと考えるよりは、「つぐみが涼権に着ぐるみを無理矢理着せた」という風に、つぐみの行動までひっくるめて書き換えられたと考えた方が自然かも?
もしくはつぐみに対して無意識のうちに全く同じ行動をとるように強制力が働いた、という事も考えられるかもしれない。
まあ、なんでもかんでもブリックヴィンケルのせいにするのもどうかとか、実際自分でも後半の仮説はちと無茶してるなとか思ってたり。とりあえず可能性のひとつとして、という事でありました。
時鳥、虚空とホクトという名前 03/4/18
パスワードの俳句に含まれる「時鳥」。これがブリックヴィンケルの事ではないかという意見を目にした事はありましたが、しかし自分はどうも納得できずにいました。ただ時を飛び越える鳥、というだけじゃ筋は通るけど裏付けが足りない気がして。本編においてブリックヴィンケルと鳥を結びつけるような要素が見当たらない、と。
けれど地上の人間の視界と空を飛ぶ鳥の視界の違いは、本編でも述べられていた2次元存在と3次元存在の視界の違いに丁度通じる物が有る事に気付く。地上の人間には地上絵の全貌はわからないが、空を飛ぶ鳥ならばわかるという事。
そうと考えれば本編においても時鳥=ブリックヴィンケルと解釈するための裏付けとなる要素があったといえると思う。つまり、時鳥=空ではなく時を飛び越えるが故に3次元空間の全てを見渡せる視界を持つ鳥。
さて、そんなわけで自分も「時鳥」をブリックヴィンケルであると考えるようになってみてふと気がついたんですが、「ホクト」という名前を構成する3文字は、アナグラミングする前の俳句ではその「時鳥」、そして「虚空」に含まれてるんですよね。ひょっとしたら「ホクト」はこれらに由来するという可能性もあり得るかも。
つまり、第3視点の持ち主から視点を借りる人物であるから、名前も彼等から一部借りて、ホクト。空は厳密に言うと第3視点の持ち主かどうかハッキリしないんですが、かなり近い存在であるようなので。
まあ偶然かもしれないんですが、もしそうだったと考えるとなんだか面白い。
虚空界 03/4/23
今回もまたパスワードに関連した話なんですが、「虚空」の部分について。何故「空」ではなく「虚空」なのか。
実は「虚」と「空」でわけるべきなのかもしれないのではとも思ったんですが、「虚」で示される事がしっくりくるキャラがどうも見当たらない。強引に解釈すればココやホクトに当てはめる事が出来ない事もないかもしれないけれど、裏付けとなる事柄を本編から見つける事が出来なかったので。
で、とりあえず辞書で調べてみたんですが、虚空という単語に関しては既に知っているような意味しか書かれていなかった。まあでもそれは確かに空のイメージに通じるものがあるわけですが、しかしまだ他に何かないだろうかと探してみる。すると、「虚空界」という単語が存在している事に気付いた。
この「虚空界」とは仏教において「世界の本来の姿を遍く存在している点からとらえて言う言葉」なのだそうな。まさしく遍在する空に通じる物がありますよね。
そんなわけで、「虚空」という単語の意味は確かに空を象徴していると言えると思う。けれどひょっとしてこの俳句に含まれた「虚空」はそれだけではなくて、「虚空界」という意味をも含んでいたんじゃないだろうか、などと思ったりしたのでした。
Ever17とスキャニング 03/5/15
今までEver17においては世界設定・物語のテーマに関連する要素が本編中さりげなく盛り込まれている、というような事を何度となく述べてきたと思いますが、今回もそんな話のひとつでスキャニングについて。
スキャンってのは走査の事で、例えば画像の情報なんかを送受信するにあたって小さな「点」に分解し、これを一定の順序で辿る事を言うそうな。
要するに「点」は0次元。これを一定の順序で辿ると線、つまり1次元になる。さらにこの線を積み上げていく事によって平面画像、つまり2次元になる。そしてもう1行程増えるとEver17本編において登場した3次元スキャンになるというわけですね。
よって「スキャン」はOPにもあるような1〜3次元世界の相関を象徴したものなのかもしれない。
また、空はLeMU館内全体を無数に設置されたカメラを通して同時に見渡す事ができ、4次元存在のそれに近い視界を持つと思われる、という事は既にこのサイトのどこかで述べていると思いますが、しかしそれでもカメラを目としている時点で通常の人間と同じ擬似的立体視の延長でしかないと言えるかもしれない。何故ならカメラの映像自体は3次元存在の眼球と同じ2次元的情報でしかない為。
対して生体反応スキャンなどで得られる情報を空が視覚情報として捉えていたなら、もしかしたらそれは前述の無数のカメラから得た物以上に4次元存在の視界に近いと言えるのかも。
なので、「3次元スキャン」はもしかしたら4次元存在の視界を象徴した要素のひとつでもあったのかもしれない、なんて思ったり。
つぐみは何故ココに優しかったのか 03/6/20
DEVIL BLUEさんの日記(6/15)にて挙げられていた疑問のひとつなんですが、実は自分も過去に不思議に思ってちょっと考えてみた事がありました。しかしその結果驚愕の事実が明らかに……!! などという事はなく全然普通の結論に終わってしまったのですが。
あくまで私の推測でしかありませんが、つぐみがココに対して優しいという事が物語の謎のひとつを解く鍵になっている……というような事は多分なさそうな気がします。つまり単につぐみがそういうキャラだから、という事ではないだろうかと。
裏付けとしては幼少時の研究所での実験動物達や、チャミに対するリアクション。察するに、基本的に小さくて可愛らしい動物や、純粋な子供に対しては優しい人なのではないだろうか。しかし大人達に対しては彼女のこれまでの人生を考えてもわかる通りそう簡単に心を開こうとはしない。で、本編の登場人物の中で子供と形容できるのはココだけだから、結果として何か深い理由があって彼女に対してだけ接し方が違うように見えてしまった……と。
その他に挙げられていた疑問についても考えてみたんですが長くなりそうなんで今後の更新に回します。ちなみにヤミオニに関しては未だにこれといった解答をみかけないですね。私も自分なりの考えはありますが……なんというか決め手に欠ける。だから考察としてアップしていないわけなんですが。
ヤミオニの謎(1) 03/7/4
その前にまずはDEVIL
BLUEさんの日記(6/20)への返信から。
>あ、実はずっと考察を拝見させて頂いてました。
>まだ未読なのもあるのですが。時間が欲しい・・・
>今まで見てきた中では一番論理的且つ詳しく丁寧なので皆さんお薦めです。
ありがとうございます。月姫研究室の方の更新がかなり忙しくてなかなかこちらは更新できずにいましたがお言葉から活力をいただいてがんばります。
で、ヤミオニ。
>2017年の時のヤミオニで目の前に居るはずの少年が遠くで数を数える声が聞こえたのは
>何故か、というのは・・・偏在している別の世界の少年の声がたまたま聞こえただけ・・・って考えは
>イマイチですか。何で聞こえてるんじゃいって言われると
>ひょんな拍子で時空に歪みが出来たんじゃないというSF小説な反論しか出来ませんし。
私も全く同じ考えだったりします。詳しい理屈なんかは「BWとはいかなる存在か」とか「ホクトは何故記憶を失ったのか」あたりで書いたかな?
要するにEver17の世界における「現実」とは絶対的な物ではなく観測者によって変化する相対的な物。「現実を観測する」ではなくて「観測したモノが現実である」という世界だからこそ、三次元存在よりも上位の観測者(と、言って良いのかよくわかりませんが)であるブリックヴィンケルの錯覚が現実となった。
本編中発生した数々の奇妙な現象の大半はこれが原因なんじゃないだろうかと。生体反応の件しかり、ホットドッグやタツタサンドが消失した件しかり。
よって17年における謎の声も34年のホクトの声ではないだろうかと。明かにホクト役の保志さんの声でもありますし。
しかし謎の声の件に関してはこれで多分合っているとして、缶を蹴った犯人に関してはまだハッキリとしてないんですよね。声と同じく34年のホクトだったのかというと……ホクトどころか両世界ともに誰も缶を蹴っていないのだから、一方で缶を蹴った音がもう一方でも聞こえた、というのはちょっとなさそう。
ではやっぱりつぐみだったのか。しかしこれは本人本気で否定してるのに実はそうだった、となると物語の構成の面から見るとあまりにもお粗末。会議室で誰にも気付かれないよう缶を蹴るのも困難だし……可能性はゼロではないかもしれないけど現実的に考えて除外しておくべきだろう。ピピに関しても同様かなあ?
じゃあ「34年の方のココ」なんだろうか。優秋ルートの脱出時に出現する際も確か缶の音がしてましたっけ。これが伏線になってそうな気もしますが。
しかしだとすると肝心のココの姿が見えなかった事が腑に落ちなかったりする。だって34年にしたってホクトの前ではちゃんと姿を現していたのだし。
とすると、犯人は「34年のココ」で半分正解なのだが、しかし厳密にはそのココが居て、しかもヤミオニに参加していると思いこんでいるブリックヴィンケルが34年で缶が蹴られるという現象を現実にしてしまい、結果17年にも影響を与えた……といったところでなんでしょうかね。現在のところ私はそう考えてます。
さて、本当は今回書いた事よりもむしろ捕捉説明やら裏付けやらの方が書きたかった事の本命だったりするんですが、長くなってしまったので次回に回します。その他ヤミオニに関するちょっとした疑問点に関する考察、そしてなお解決しない疑問なども。
ヤミオニの謎(2) 03/7/13
さて、続きです。この奇妙な現象がブリックヴィンケルの仕業である事の裏付けになるんじゃないかと思った事象に関して。それは武視点からココシナリオに入ってヤミオニをした際に、誰もいない筈なのに数を数える声が聞こえ、そして缶を蹴る音が聞こえた瞬間に少年視点へと切り替わった事。
つまり、ブリックヴィンケルの視点の切り替えのキッカケを作ったのが缶を蹴る音だったという事ですね。缶を蹴る音の原因は自分なんだから、それを聞いたのがキッカケで……という事だったのでは。更に言うと、視点が移行するまでのテキストを読んでみると、17年の己と34年の己とが共鳴するかのような表現もあります。
それともうひとつ。缶が蹴られるシーンですが、音はしなかった筈なのに缶が転がっているケースと、転がってないのに蹴られる音がするというケースとが存在します。気になったんで17年と34年とでよく比べてみたんですが、どうやら前者は17年においてのみ発生、後者は34年においてのみ発生しています。
つまり缶の運動と音とが両世界でかなりキッチリわかれている。この辺から察するに、17年と34年を同一世界とする錯覚が原因で同一の現象が2つの要素にわかれて2つの世界で発生してしまったのでは……なんて思ったりもしたわけですが。
ただこれに関しては17年において最初に蹴られるシーンでだけは音もするし転がってもいるのでちょっと弱いかも。そしてこの時だけがそうである理由が未だにわかりません。
さて、他にも書きたい事があったのですがうまくまとめられなかったのでまだ続くっぽいです。
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