らっきょとーく(11)

 らっきょこと空の境界(完全版)を読んで思ったことをツラツラと書いていくという。いつものやつです。
 例によって順番はテケトーです。

 その101 皐月はさつきを助けられるか?

 オフィシャルの掲示板でもちょっと見かけた事がありますが、肉体が死徒のソレへと変貌してしまったさっちんを、皐月の言葉で人間に戻してやれるかどうかという話。
 あれって究極の催眠術のみたいなものなんですよね。だからどうなんだろ。個人的にはチョット厳しい気がする。

 魂が肉体を変貌させるという例がある。だから世界に直接言い聞かせる事ができる皐月の言葉ならば肉体に影響を与えられないでもないかもしれない。
 でもあくまで催眠術は催眠術であって、存在概念そのものを書きかえたり物体の構造を作りかえたりとか、そういった事はできないんじゃないだろうか。
 本編で皐月がやったことは見えなくする事。これはあくまで見えないと思い込ませる事であって視覚を司る器官が破壊された、或いは違う構造へ作りかえられたというわけではないでしょう。
 言うなれば特定の機能を使わなくさせた、もしくは使い方を変えさせたという事なんじゃないかと思う。
 だからこそ橙子さんはゴドーワードは他人を傷つけない、そもそも傷つける手段を持っていない、というような事を言ってたんでしょうね。
 それに彼は魔術師でない人間が魔術を行使できるかのように見せかける為、妖精を憑かせるという手段をとった。
 つまり、彼の言葉をもってしても魔術師でない人間を魔術師へと変貌させる事ができないという事じゃないだろうか。
 これも彼の言葉でも物理的な構造にまでは直接影響を与えられない事の裏付けになると思う。

 ただ、病は気からという言葉もある。患者の精神状態によって症状が重くなったり軽くなったりというのは実際に有るという話は聞いた事がある。
 病の例と肉体の死徒化を同列に考えてはいけないかもしれないけど、ひょっとしたら皐月の言葉で死徒化の進行を遅らせるとか、血を吸わないままで生きていられる時間を引き延ばす位の事なら或いはできるかも?


 その102 橙子さんはさつきを助けられるか?

 人間だった頃のさっちんの体をそっくりそのまま再現できれば或いは。しかしそれは可能なんだろうか?

 まず、死徒化したあとの肉体を手本にして人間だった頃の肉体を再現できるかどうかという問題がある。
 起源覚醒して4年経った白純の場合は処置なしだそうだし。
 まあ、もしも元の肉体は再現不可能だったとしても、最悪外見だけ完璧に再現した人形を作れれば実生活には問題ないでしょう。できれば完全に元通りといきたいかもしれないが、背に腹はかえられないと言うか。
 或いは起源覚醒して時間が立ちすぎた白純と違って死徒になりたてのさっちんだったら元の肉体を再現できる可能性もあるかも?

 ただ、肉体の方はそれでどうにかできたとしても、まだ重要な問題がひとつ残ってるんですよね。
 それは死徒化すると魂までも汚染されてしまうということ。
 なのでさっちんの魂が既に死徒のそれへと変貌してしまっているから、新しい体に魂を移植できたとしてもその体が再び死徒化してしまうかもしれない。
 これはとりあえず肉体に魔術的処置を施して死徒化しないようにするとか、はじめから死徒化しないように肉体を作るとか…。
 ともかく、この点が解決できないと完全とは言えないですね。
 荒耶の協力があれば或いは…。


 その103 根源への道

 道は色々あるようですが、それらのひとつが"原型"であるという事でしょうか。

 橙子さんは肉体の原型から。
 荒耶は死の原型を通して辿り着くだろう魂の原型から。
 皐月は統一言語という全ての言語の原型から。

 さらに、この道の行き付く先には門が待ち構えており、それは魔術的なスキルがなければ開く事は出来ない。まあ、門ってのはあくまで比喩ですが。
 で、皐月は根源を目の前にして門を開けられず立ち往生しているわけだ。

 そしてこの門を開けられたとしても、生まれ付き「  」へと繋がっている人間でなければ抑止力によって殺されてしまう。

 まとめると、

 ・現代社会では複雑に種類を増やした「何か」の原型を得る
 ・高レベルの魔術的スキルを持っている
 ・生まれ付き「  」へと繋がっている人間である


 これら全ての条件を兼ね備える事が根源へと到達する手段のひとつであるという事になるんでしょうか。
 超能力者の場合は根源と繋がってはいるが、皐月の例同様魔術的スキルがないので自身が根源へ到達する事はできないのかも。


 その104 ネロの目指していたもの

 歌月では魔術師は魔法を目指すものであるとされていた。
 そしてロアの目指していたところも魔法であったらしい。
 ならネロ先生が目指していたところも魔法だったんだろうかと空の境界を読む前は思ってたんですが。

 んでまあその、彼の体ってひとつの世界なんですよね。
 で、月姫での彼の言動からして彼の最終目標は自身の内世界に在る生命の系統樹を完全に制御する事であったと思われる。
 じゃ、これを成し得た時はつまり、彼の内なる世界が完全な原初の混沌となる、という事じゃないだろうか。
 原初の混沌、つまり「  」、ということでしょうかね。

 何が言いたいのかというと、彼は魔法を目指したんじゃなくて自身の肉体を「  」に近い状態へと作り変える事によって根源への門を開こうとしたのかなあ、なんて思ったですよと。
 だとしたらその103で取り上げたものとはかなりコンセプトが違ってますね。どちらかというと「  」に繋がってる両儀式とやや似てるかもしれない。

 根源とか魔法とか関係ナシにただガクガク動物ランドをいじくってるのが楽しかっただけ、という可能性もありえそうな気もしないでもないんですが…。


 その105 文明の先をいっていたわけ

 まず、鮮花が魔術は現代文明に追いつかれたのだといっていた。
 追いつかれたという事はつまり、元々は文明の遥か先を進んでいたという事を意味する。
 しかし魔術師は他人に自身の研究内容・成果を明かさないという事から研究は単独で行われていたと思われる。それなのに何故文明の遥か先を行くことができたのか。

 その答えになりそうな気がするのが橙子さんの言葉。
 現代の魔術師では根源に辿りついて新たな魔術系統を作り出す事は出来ないとか。
 根源に到達すれば、全ての知識を得る事ができる。その時点での文明を遥かに越える高度な知識も得られるだろう。
 ならばそれによって誕生した魔法が文明の限界を越えているのも道理だと思う。
 その魔法が文明に追いつかれて魔術に格下げされたというわけなんでしょう。多分。


 その106 魔術回路とは何か

 ほぼオフィシャルの掲示板に書きこんだ内容の繰り返しになりますが。
 自分は現在のところ魔術「回路」という名前からして、ひとつの魔術が成立するための諸要因が辿った経路、と解釈してます。

 そしてその経路を構成する最小単位をも指すのではないかと。
 例えば言葉という魔術回路なら通常の会話ではなんら魔術たりえないが、呪文ならば魔術を発動させる要因のひとつになる。
 つまり最小単位である魔術回路が複数種類存在し、それらを何らかの法則にしたがって組み立ててひとつの魔術を発動させる巨大な回路を形成している、というイメージ。
 そう考えるようになった理由は鮮花が発火の組み立ては巧いとか、アルバの詠唱シーンでも組み立てが云々とか書かれていた事。そこから魔術って発動させる為には魔術回路を決まった法則にしたがって組み立ててるんじゃないかなあ、などと思ったわけです。

 アルバの呪文詠唱シーンでの解説もそんな風に解釈できないでもないと思う。もっともこの辺の解釈は人によりけりでしょうが。
 ここでアルバが「組み立て」ていた呪文は言葉という魔術回路ですし、そのすぐ後に物質界に働きかける回路の繋ぎ方が巧いという表現が出てきます。
 という事は繋ぎ方にも色々あるという事でしょう。ならば回路と回路を特定の法則にしたがって繋ぎ合わせて大きな回路を「組み立て」ているんだという解釈をする余地はあると私は思う。


 その107 魔術回路を宿す部分

 で、空の境界を読む以前に魔術回路とは何か考察した際には、例えば「眼」は魔術回路なのかそれとも魔術回路を宿す部分、月姫本編からでは一体どちらなのか判断がつかず悩んだんですが、その106のような考えでいけば、どちらの言い方も間違いではないという事になると思います。
 つまり、眼は大きな意味での魔術回路である。が、その眼を魔術回路たらしめる小さな魔術回路が眼に内在されている。ということになる。ややこしいですが。

 魔眼殺しの眼鏡やその他魔術的効果が刻まれたアイテムに関してはこの考えでいくと…そのアイテムが単体で持つ魔術的効果を発動させるための回路は内在されているという事になる思います。
 そのアイテムの補助を受けてまた何か別の魔術を発動させる際にはこれらはその魔術を構成する魔術回路の一部となる、といった所でしょうか。

 また、上で述べた考察ではとりあえず眼そのものが魔術回路であると解釈しました。
 よって生まれ持った体のパーツが、例えば本来立つ、歩く、走る、跳ぶといった行為に使われる「足」がサッカーにおいては更にボールを蹴る、操るという行為にも用いられるという例のように、通常とは違う使い方をされることによって魔術回路として成立するのではないかと考えていたわけですが。
 それで思ったんですがこの通常とは違う使い方、もしかしたらその106で述べた魔術回路の組み立てに当てはまると考えることもできるんじゃないでしょうか。


 その108 魔術師は原理を知っているか

 魔術というものは、世界に干渉するという非常識な手法によって常識の範疇に収まる現象を引き起こすもの。発生した現象が例え常識の範囲内であろうとそれを見た一般人が驚愕するのはその手法が非常識であるが為でしょう。
 さてこの時ですが、例えば発火系魔術ならば、物が燃えるという現象がいかなる原理で発生しているのかを理解せずとも決まった段取りを経て世界に接続し、干渉しさえすれば発火という現象を起こしてやる事が可能であるかどうか? 答えは否、だと思います。

 理由のひとつは魔術が学問であり、作品中に登場した魔術師達は自分の研究分野に関して詳しい知識を持っていた事。
 もうひとつは「道具」がどこにあるのかという問題が発生する事。
 原理を知らずにその現象を引き起こす、という事は言っていみれば現代人が道具を使う行為に例える事ができると思います。ならば魔術によって世界に干渉して発生した現象を起こした「道具」にあたるものは世界のどこに存在しているのか?
 そんな物が存在しているのは不自然です。存在理由がわからない。魔術が誕生する遥か昔から世界は存在していたわけですから。
 超能力の場合は本人の脳でそういう事を可能とする回線が先天的に覚醒しているわけですから、この回線が「道具」にあたるでしょう。超越種の能力の場合も多分同様だと思われます。

 よって魔術師達はその現象が発生する原理を理解し、それに基づいて魔術回路を構築し、魔術を発動させているんだと思います。
 言うなれば一番最初に述べた「非常識な手法」によって構築された魔術回路自体が「道具」であるということでしょうか。道具を作って(組み立てて)その機能を利用しているという考えです。
 そしてその「道具」を作るためには自分でその構造を設計する必要がある。その構造を設計する為にはその道具によって発生させる事象の原理を理解している必要がある、と。


 その109 両儀式という名前

 両儀は良いとして、式の方は数式の式とか式神の式とか言われている。そんなわけで、「両儀式」とは両儀、ひいてはその上位にある根源の式神、という意味であると思っている人もいるかもしれない。
 自分も最初はなんとなくそんな風に考えてました。しかし陰陽道に関して色々と調べているうちに、実際にはむしろ逆なんじゃないかという気がしてきました。

 実は「式神」というカテゴリに属する神は存在しないらしい。式神の「式」とは「もちいる」という意味であり、神をもちいるから式神、と称するんだとか。
 つまり、「両儀式」とは両儀をもちいる存在、つまり根源そのものという意味にとった方が正しいかもしれない?

 だとすると式がその名故に志貴よりも数段上の直死の魔眼の持ち主とされていたのも当然。根源に繋がっているからこそ死を視れる。そういう条件でいったら、そりゃあ根源そのものとも言える存在はその頂点と言えるでしょう。
 そういや自分、両儀式の肉体に関して知るまでは"数段上の「直死の魔眼の持ち主」"ではなくて"「数段上の直死の魔眼」の持ち主"だと勘違いしてました。
 前者の解釈をしている人を昔オフィシャルの掲示板で見かけた事があって、なるほどー、とは思ったものの、それが具体的にどういう事なのか月姫・歌月までだとよくわかんなくて、結局後者かと思ってたわけですが。
 で、らっきょ読んでから再びプレイしてみると、おお、なるほど、と思える部分がでてきたりするから面白い。


 その110 橙と青

 この二色は補色の関係にあります。片や作る者、片や壊す者。属性からして対立してる事は明らかでしたが、名前においてまでも対立する事が宿命付けられていたんだろうか、あのふたり。
 


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