秋葉の能力に関する考察(2)

 この文章は歌月十夜登場前に書いた秋葉の能力に関する考察のいわば答え合わせ編です。

 上で書いた通りです。この歌月以前に書いた考察を読んでない方は先にそちらを読んでおかないとあまり意味がないかもしれません。

 というわけで赤い鬼神での解説から秋葉の能力がいかなるものかほぼ明らかになった。裏付けとなる解説が多く存在したのでやはり本命であった仮説4が一番正解に近かったようである。よって決定的な否定要素が見当たらないので保留としていた仮説1に関してはやはり違うのだろう。

 とはいえ仮説4も完全に正解というわけでもなく、いくつかおかしな個所もあった。以下、フォントの色が違うモノは前回の文章からの引用。

 本編中に登場した数々の能力の中では超能力に性質が近いかもしれない。
 (中略)
 しかし能力によって引き起こされる現象の見た目だけが似ていてその原理は全く違う可能性もあるのだが。

 
 これに関しては半分正解・半分不正解といったところだろうか。
 確かに見た目は自然干渉と似ている場合もあるかもしれない。しかし実際には超能力と自然干渉は全く別物であった。後半部分で述べている通り似ているのは見た目だけという事だろう。勿論超能力によって起こされる全ての現象の見た目が自然干渉のそれと似ているというわけではないが。


 また、白本の用語辞典では軋間の灼熱の能力を自然干渉と呼称していたが、これは名前からして恐らく空想具現化同様、自然から独立した存在である人間に直接干渉することは出来ないだろう。よって人間から直接熱を奪う事ができた秋葉の能力は同じ外界への干渉能力とはいえ自然干渉とは別物であると思われる。

 これは間違い。恐らく秋葉の能力も自然干渉である。赤い鬼神にて、睨むだけで相手の体温をマイナスにするものが魔の自然干渉の中に存在すると明言されている。
 ではなぜ自然から独立した存在である人間に直接作用させる事ができたのか、という疑問がわいてくる。

 まずひとつとして、直接人体に作用させているかのように見えただけ、という事が考えられるだろうか。秋葉の能力は対象から熱を奪う。対象が人体とて同様。だがこれは対象の持つ熱がマイナスになるよう干渉しているのではない。つまり、対象から熱を奪う現象(志貴にしか視えない赤い髪?)を起こす事によって間接的に干渉しているのではないか、という考えである。
 例えばアルクェイドが空想具現化によって志貴を部屋の外へ放り出すシーンがあったが、これは志貴の体に直接干渉していたのではなく、不可視の力を具現化してそれによって志貴の体をつかんで放り出したのだと思われる。恐らく路地裏でネロの黒犬を壁に叩きつけた方法も同じだろう。ロアの体を切り刻んだのは具現化した真空の刃によるものである。
 これらの例を見ると仮説2の方も正解のように思えてくるが、秋葉の能力は空想具現化のように汎用性の高いものではないので違うだろう。

 もうひとつの考えは、そもそも空想具現化と違って人体へ直接干渉できる能力であるからこそ自然の法則にありながらその流れを歪める魔の能力とよばれるのではないか、というものである。
 もしかしたら固有結界が人体への直接干渉を可能とした反面その有り様は汎用性を失うという制約を負った様に、鬼種等が行使する自然干渉も人体への直接干渉を可能とするかわりに特定の現象しか発現できないという制約を負った空想具現化の亜種…或いは亜種とまではいかなくとも空想具現化に原理の似た能力なのかもしれない。
 こう考えると仮説2及び仮説3も不正解とはいえ全く見当違いな仮説ではなかったと言えるかもしれない。


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