琥珀の境界

 「空の境界」に引っ掛けたタイトルにしてみたら元ネタと語呂が合わなくて大失敗の巻。
 本編中の様々な出来事についてどこからどこまでが琥珀さんの仕業なのか考えてみようかと。

 その1 七夜のナイフを渡したのは?

 これは白本・青本の月姫用語辞典にも書かれている通り琥珀さんの策略であったらしい。槙久が処分せずに持っていたものを部屋から勝手に持ち出したとか。
 彼女の目的達成のためには志貴の戦闘能力アップは必須だったと思われる。

 しかしまあ、ナイフの入った箱を部屋に置くよう志貴が言った際に興味深げに箱をみつめて志貴が箱を開けるよう仕向けたり、さりげなくナイフの使用法を志貴に教えたり、年号が書かれているととぼけて「七つ夜」という単語を志貴の頭に刷り込んだりとなかなかに演技派であり、策略家である。
 「有間の家から届いた」と言ったのは仮に槙久の遺品が志貴あてに届くならばまずは有間家へ届くのが自然だということをわかっていたからだろう。志貴を遠野の屋敷へ呼び戻したのは秋葉の意思ゆえ槙久がそれを知る筈もないからである。

 ちなみに彼女はこの時2階から下りてきてる。これは単に志貴が2階の自室にいると思って一旦そちらに向かったからなのか、はたまた1階の槙久の部屋からナイフを持ち出したのだという事を悟られる確率を下げるためなのか。後者だったら面白いなあ。
 また、ナイフを渡すときに「槙久さま」と言わずに「志貴さまのお父さまの遺品」(なぜかここだけ「志貴さま」に戻ってるのだがまあ気にしない)と言って渡している。これは単にボロが出ただけなのか、はたまた後々志貴に本当の父の遺品であると気づかせるためにわざとそういう言い方をしたのか。後者だったら面白いなあ。


 その2 眩病月における夜の校舎でロアに殺されるエンドは?

 この文章は私がTYPE-MOONさんのネタバレ掲示板に投稿した記事を元に再構成したものです。

 これは琥珀さんの策略ではないだろう。この時ロアが「用済みになった」などと言っている。
 また、そもそも彼女の目的は遠野の血を引く者全員が消えることであり、その為に描いたシナリオの中で志貴が負う役割のひとつは、秋葉と四季(ロア)をぶつけた後に生き残って弱っている側に止めを刺すというものであったと思われる。
 故にあの場面で体力を失っている志貴をロアにぶつけるのは全く無意味である。


 その3 アルクェイドを殺してしまった後、志貴の服の血が消えたのは?

 最初はアルクェイドが体の復元を試みた際に志貴の衣服に付着した血液がアルクェイドの体へと戻ったのでは、と考えていた。
 で、そういう内容の考察を一度はアップしたのだが……後で問題のシーン周辺をプレイしなおしてみたところ、どうもこれも琥珀さんの仕業であると思えてきたので前述の考察は内容を手直しして別のネタとして再アップ。

 そして私がこの件を琥珀さんの仕業だと考える根拠としているのは、アルクェイドを殺してしまった後に志貴が屋敷で目を覚ました際の翡翠との会話である。
 この時の翡翠は琥珀さんの事を「姉さん」ではなく「姉」と呼んでいる。つまりこの場面で実際に志貴と会話をしていたのは翡翠に変装した琥珀さんだったのである。
 恐らく最初から服に血など付いていなかったと志貴に信じ込ませるためなのだろうが、普通にそう言えば良いものをわざわざ変装までしているあたりがあやしく、事実を隠そうとしているように思えてならない。
 だが、一番肝心な翡翠のふりをしていた理由がよくわからない。これについては改めて後日考えることにする。

 なお、琥珀さんが公園で志貴を発見したというのは本当だろう。翡翠は屋敷から外に出ようとしないからである。また、最初に志貴を発見したのが彼女であれば誰にも知られずに志貴の服を処分する事も可能である。

 追記:03/2/7

 後日などと言いながらかなりの時間を隔ててしまったが、翡翠に変装していた理由に関して。

 公園にいた志貴を屋敷に連れ帰った時には既に彼の服の内で血の付いていた物のみをどうにかした後であったと思われるので、この時の彼の服装は少々不自然だったのではないかと思われる。
 しかしこの時点では秋葉はまだ帰ってきていなかったらしい。つまり、その時の志貴の「服」に関して知っていたのは琥珀さんと翡翠だけだったという事になる。
 よって後に志貴が屋敷に戻ってきた時の自分の服の状態に関して尋ねるとしたら、相手は当然このふたりになるだろう。秋葉は実際見ていないので、彼女に尋ねに行かれるような事があったとしても問題ない。

 となると自身の計画の為にも志貴の服の血の件は無かった事にしておきたかったであろう琥珀さんにしてみれば、確かにあの場では翡翠に変装して服に血が付いていた事を否定しておいた方が都合が良いと思われる。
 何故ならそうしておけば志貴はそこで「一度翡翠に否定された」為に、それでもなお納得出来なかった場合でも次にこの件について尋ねる相手として(再び)琥珀さんを選ぶようになる可能性が高くなるからである。
 これがもしも変装せずにいたら、「一度琥珀さんに否定された」志貴は、当然琥珀さんの知らないところで翡翠にこの件に関して尋ねてしまうかもしれないという事になる。そうなるとふたりの言動の食い違いをキッカケに志貴が真相に気付いてしまうかもしれない。

 とはいえ、この考えを裏付ける事柄は特に見当たらない。しかし現時点ではこれが一番辻褄が合っていると私は考えている。


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