凛ルートの教会地下でキャスターが消滅した後、アーチャーが葛木先生に勝てた理由について。ここは葛木先生の拳の直撃を受けてから反撃するパターンと、回避してカウンターを入れるパターンがある。
まず前者について。
キャスターによる拳の強化がなくとも、元々葛木先生の技は素手で人間を容易く殺害できるだけの破壊力がある。にも拘らず直撃をうけて平然としていたと言う事は、考えられるとしたらやはり基本的には霊体であるサーヴァントに物理的攻撃は通用しないと言う設定に基づいた結果だったという事なのではないだろうか。
アーチャー自身の耐久力故という可能性に関しては、強化を受けていないとはいえ葛木先生の打撃を耐え切れるほどの物と断定して良いのかわからないので、私は前述のように解釈している。
次に、後者について。
容易く回避してカウンターを入れるパターンだが、しかしアーチャーはこの場面に至るまで葛木先生と直接戦った事は無い。ならば葛木先生の技は初見であればサーヴァントにも通じるという話と矛盾するのではないかと疑問に思われるかもしれない。
実は生前葛木先生の技を見た事があると言う可能性は、アーチャーの過去にて推察した通り個人的には低いと考えている。
ではストーリー中で葛木先生の技に対応できるようになるなんらかの出来事があったのではないか。となると、教会地下で対峙している、アーチャーが裏切る直前の場面の凛の以下の言葉。
>それに葛木先生の事も判ってる。セイバーは面食らってたけど、事前に知っていれば私のアーチャーの敵じゃないわ
既に葛木先生の「蛇」を見ていた凛がその特徴をアーチャーに伝えているようである。
百聞は一見にしかずであるが、こと「蛇」のように初見であると言う前提が重要な技に関しては、少なからず意味はあるという事なのではないだろうか。特にサーヴァント達のような卓絶した武人であれば尚の事だろう。
もしもこの時点で戦闘になった場合、実際に「蛇」を体験したわけではないので少なからずアーチャーもダメージを受けるが、しかしセイバーの例とは違って戦闘不能にされる前に慣れる事が出来るのかもしれない。
上記の推測が正しかった場合、引用した言葉から読み取れる凛の強気にも納得である。
しかしこれだけでは足りない。問題の場面ではいきなり容易く回避できているのである。ならばまだ他にアーチャーにとって有利となる要素が何処かにある筈である。そこですぐ後の場面。
葛木先生が脱出しようとした凛と、その凛を救出した士郎に対して「蛇」を繰り出している場面である。
当然の事ながらこの場にはアーチャーも居た。つまり事前にどういう技か説明を受けて対策を練っていたのに加えて、実際にその技を見る事が出来たのだ。
特に士郎に対して「蛇」を繰り出している場面は大きいと思う。アーチャーの剣技を真似た士郎が干将・莫耶を以って葛木先生の「蛇」に対応しているのである。
士郎の剣技がまだ未熟である事を考慮に入れても、アーチャーにとっては自分と異なる装備・戦闘技術を有する人物であった場合に比べて、お手本としてはより理想的であったと言えるのではないだろうか。
加えてアーチャーは令呪の縛りから開放され真に最速のサーヴァントと化したランサーの猛攻を、心眼のおかげもあってしのぐ事が出来ている。この心眼による実績も加味すれば、一度直接見ているというアドバンテージもより大きく評価できるだろう。
一方自分自身が「蛇」と対峙したわけではないというマイナス要因もあるが、流石にこれだけで上記に挙げた要因を全て覆すような事は無いのではないかと私は考えている。
仮に覆すと言うのであれば、最初に引用した凛の言葉が彼女の妄言だという事にもなりかねない。しかしこれを妄言だとする解釈を裏付けると思われる描写は特に見当たらない。
結論として
・「蛇」は初見でなければ大きく効果が落ちる
・事前に「蛇」の特徴を聞いている
・「蛇」を凛や士郎に繰り出す場面を見ている
・あまつさえ、それに応戦する士郎の装備と戦闘スタイルが自身とほぼ同一
・心眼によって事前に得た情報を最大限に活用できる
これらのアーチャーにとって有利な要因の存在により、件の場面まで直接葛木先生と戦った事は無かったにも拘らずその攻撃を容易にかわす事が出来たのではないだろうか。
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