らっきょとーく(7)

 らっきょこと空の境界(完全版)を読んで思ったことをツラツラと書いていくという。いつものやつです。
 例によって順番はテケトーです。

 その61 起源に近いという事

 どういう事なんでしょね。現在のカタチを得るまでに転生した回数が少ないという事だろうか。
 「風が吹けば桶屋が儲かる」っていう言葉を例に考えてみます。

 「風が吹く」という事象と「桶屋が儲かる」という事象の間に挟まってる筈のいくつかの事象を、現在のカタチに辿り着くまでに経てきた転生に例えれば、「今生きている人間」と「その起源」との関係は先の「風が吹く」・「桶屋が儲かる」というふたつの事象の関係に例える事が出来ると思う。
 一番最初の原因である「風が吹く」という事象の存在がなければ最後の結果たる「桶屋が儲かる」という事象も存在し得ないのは確か。だが最初の事象が最後の事象に直接影響しているわけではなく、見た目にもそうは映らない。
 同様に起源が存在しなくてはそれを起源とする人間の存在もありえないが、起源がその人間の存在というものに直接影響を与え、その在り様を縛り付けているものではないし、見た目にもそうであるようには映らない。

 一方起源に近いという人間は最初に述べたように転生回数が通常の人間よりも少ないと仮定するならば、「桶屋が儲かる」という事象よりも先に発生した事象ということになるだろう。
 「風が吹く」により近い事象であるならば、それは見た目にも「風が吹く」という事象の影響を受けているという事は明らかだ。
 ならば起源となる混沌衝動が原因となり、巡り巡って最初に魂というカタチに至った物、或いはそこからあまり転生していない魂を持つ人間ならば、起源たる混沌衝動の影響を強く受けてしまうというのもわからないではないと思う。


 その62 起源に近い人間

 起源に近い人間は優れた能力を発揮する一方で社会から外れやすくなるそうですが。
 これに関してはそもそも起源というのは"存在の因"であるわけだから、それが先天的な能力・性質に影響を与えている、つまりそういう能力・性質を持った"存在"となって生まれてくる"原因"であるからだと考えれば納得がいくかも。
 だから起源に近いとその起源に関連する先天的な能力を、より高いレベルで潜在させた存在として誕生するということになるんじゃないだろうか。
 なぜ起源に近いとそうなるのかはその61での「風が吹けば桶屋が儲かる」の例えと同じなので省略。

 社会から外れやすい、というのはその起源の影響ばかりを受けて誕生したが故に偏った人間になってしまうからと。そういうことかな?
 式のように起源が近すぎて引きずられる、というのはその傾向が極端だという事なのかも。


 その63 転生回数ゼロ?

 式ってひょっとして前世というモノが存在しないんじゃないだろうか? つまり転生回数ゼロ。
 荒耶がその目的の為に捜し求めていたのは「  」に繋がったまま生れ落ちた無色の魂だった。そして式がその魂の持ち主であったと思われる。
 無色の魂、という事は、未だ何も記録されていない魂、故に転生による前世の記録が存在しない魂、という事なのではないだろうか。
 だとしたら式が起源に近すぎて引きずられる事ともつじつまが合うんですけどね。


 その64 幼少時の鮮花

 鮮花の幼少時代ですが、特別でありたいという強迫観念めいた物に後押しされてどんどん余分なものを排除し、自ら望んで孤立しとりました。
 橙子さんは今の鮮花は起源に引きずられる事もなくいたって普通だとコクトー君に対して言っていたけどこの時の鮮花は明らかに引きずられてますよね。

 で、この時彼女を支配していた感覚は"無"であったそうで。自分に関わる余分な物を削ぎ落としていくという行動とあわせて考えてみると、彼女の起源は禁忌ではなくて実は虚無だったのでは、なんて思ったりしたんですが…でもそれなら橙子さんが起源を読み違えた理由がわからないし。
 確かに魂に関しては橙子さんも専門分野ではないのでしょうけどそれにしたって不自然。

 やっぱり鮮花の起源は禁忌であったと考えた方が自然でしょうね。となると、自身に関わる余分な物を削ぎ落とすという行動は、自身が特別な存在、周囲とは違った存在になりたいという願望に起因する物であって、虚無を起源に持ちそれに引きずられている人間の、自身の周囲のあらゆるモノを無に帰したいという願望に起因する行動とは表面上似ているだけであったと考えれば筋は通るだろうか。

 ならこの時彼女を支配していた感覚が"無"であったということに関してはどうだろう。
 これは虚無が起源だったからではなくて、禁忌という起源に引きずられた結果だとするなら…例えば当時の彼女が「無への回帰」へと向かっていたからではないか、とか一時期考えてた事がありましたが…んー、確かにこれは人類の総意から判断すれば最大級のタブーではあると思いますが、ちょっと違うかなこれは。
 なぜならあのままだとダレカとは違う、ダレカとは暮らせない、ダレカを傷つけるだけの存在へとなっていただろうと本人が予想していましたから。どんな存在にせよなにかに成る、という事は無への回帰とは全く逆方向の現象でしょう。たぶん。

 そういえば「生まれる前の素の位置に近付きつつある」ともいってましたっけ。ならば"無"という感覚の正体は生まれる前、つまり前世へと近付くために現世において積み重ねられた"黒桐鮮花"という意識が段々と削ぎ落とされた結果によるものだったとも考えられるかも?


 その65 単独での起源覚醒は可能なのか

 魔術師の術のみでの起源覚醒は不可能だが、逆に魔術師抜きでの起源覚醒は可能なんだろかって事なんですけど…どうなんでしょ。

 まず起源覚醒の術は対象者が起源を自覚していると言う事が前提条件となっている。でも前提条件はあくまで前提条件。それを満たしているだけではその先に進めるとは限らないですよね。
 ただ気になるのは幼少時の鮮花の例なんですよね。あのままだとダレカとは違う、ダレカとは暮らせない、ダレカを傷つけるだけの存在へとなっていただろうとかいうような事を言ってたので。
 そのような存在になるという事が起源覚醒を指してたのであれば単独での起源覚醒も可能という事になりますが…でも白純の時の荒耶の言葉で「起源を自覚しただけではその程度」っていうのがある。
 ならば鮮花はあの時起源を覚醒させかけていたのではなくて自覚しかけていただけだったとも考えられるかもしれない。あのままだとダレカ(中略)存在へとなっていただろうってのも、なにもそれが起源覚醒者のような超越者になる事を指しているとは限りませんし。…逆にそうでないとする強い裏付けもないんですけども。

 …結局単独覚醒は不可能っぽいというだけで、ハッキリとした結論は出せませんでしたが。んんん。


 その66 どうやったら起源を自覚できるのか

 多分、誰かが「あなたの起源は〜〜です」とか教えてやったところで「へーそーですか」で終わりそう。そんなのと起源の自覚とは多分根本的に違うんでしょう。

 白純の場合、人を殺してしまった事によってパニック状態におちいり、精神が逃避してしまっていた。その極限の状況下において選択した行動が起源の影響を受けたものであった。
 鮮花の場合、幼少時に自分に関わる周囲のモノだけでなく、自分自身というモノをも削ぎ落としていたとみられるフシがある。
 そして橙子さんの話によれば現世の自己の積み重ねによる方向性程度では起源という方向性にはかなわないという。

 これらの事から察するに、起源の自覚は現世における自己が何らかのカタチで失われる、或いは一時的にでもいいから機能しなくなる事により可能となるなのではないかと思われる。
 ようするに、そうやって現世の自己というフィルタをどけてやることによってその向こうに存在する起源という方向性が姿を現わすようになるという事じゃないだろうか。
 最初に述べたように通常時に起源を教えてやったところで本人の起源を覆い隠す"現世の自己"というフィルタをどけてやることにはならない。フィルタの向こう側にある物がなんであるかを教えてもらったところで実際にそれを見てみない限り実感はできない。百聞は一見にしかず。そういう事なのかもしれない。


 その67 鮮花が忘却した理由

 鮮花は兄であるコクトー君を好きになった決定的瞬間の記憶がないという。それは何故か。多分これは上でも述べたように彼女の幼少時の状態が大きく関わってるんじゃないだろうか。

 当時の彼女の状態は現在の彼女が述べていたようにかなり危うい状態だった。特別な存在でありたいと願い、それによって起源へと近付いていた。
 けれどコクトー君はその極端な普通さ故に真に特別であるという事に気がつき、そのおかげで自分の間違いに気がつく事ができた。
 そして「特別」を望んでいた彼女は本当の意味で特別であった彼を慕うようになったんじゃないだろうか。

 けど、それを思い出す、という事は同時に自身は幼少時に起源へ近付いていた事も思い出すという事になるだろう。
 人間は自分にとって都合の悪い事は忘却する。起源に近付いて危うい状態であった幼少時代の事を思い出すと、再び同じ事を繰り返す危険性があるからその事を忘れていたのではないだろうか?


 その68 巫条霧絵・浅上藤乃の起源

 荒耶の「必要だったのは同じ"起源"を持ちながら分かれた者達だったのだ」と、その後に続く「あの二人は、おまえのためだけに用意した生贄だ」という言葉。
 これは白純の失敗から前述のような者達が必要だと悟り、結果見つけだしたのが巫条霧絵・浅上藤乃だったのだと解釈できる。
 つまり、彼女達の起源も両儀式と同じ"虚無"だったのではないだろうか?
 そうであるならば、この二人も式と同じく殺人者としての側面を持ち合わせていたのは、少なからず起源の影響を受けていたのが原因だったとも考えられる。


 その69 孤独

 なんというか、虚無にせよ禁忌にせよ孤独になりやすい起源が多い気がしますなあ。
 たまたま登場キャラの場合はそうであっただけという可能性もありますが。


 その70 志貴の起源

 彼も式と同じく"虚無"なんじゃないかな、などと考えてみる。
 根拠のひとつは式の直死はその起源の影響を受けているらしく、それなら同じ直死を持つ志貴ももしかしたら…という事。
 それから二人とも物にあまり執着せず(志貴に至っては小学生時代10万円貯金したほど)、部屋も閑散としているという事。虚無を起源に持つ者はあらゆるモノを無に帰したいと考える。物に執着しない、部屋が閑散としているといった特徴も、そういう衝動の影響を受けている結果なんじゃないだろうか。
 あとは両者ともに殺人者としての側面を持っている事。志貴は魔に対してだけ殺害衝動を抱くから違うといわれそうだが、本編でも選択肢次第で殺人鬼になりはてる事もあるし、本家の第3回人気投票画面でのきのこさんのコメントに「志貴くんの本性は本人にも解らない妖怪変化です」なんてのもあったし。

 他にも眠っている時はまるで死んでいるかのように見えるとか、刃物好きだとかいう共通点もあったりするが、こちらは起源と関わりがあるかどうかはちょっとわからない。
 

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