らっきょとーく(5)

 らっきょこと空の境界(完全版)を読んで思ったことをツラツラと書いていくという。いつものやつです。
 例によって順番はテケトーです。

 その41 ヴァン=フェムは案外強くない?

 「魔術師とは本人が強者である必要はなく、その業で最強のモノを作ればいい」
 学院時代の橙子さんの言葉だそうですが。なら二十七祖のひとりである人形師ヴァン=フェムも彼自身は他の祖に比べるとあんまり強くなかったりするんでしょうか。
 もちろん死徒である時点で通常の人間よりは遥かに基本能力は高いのでしょうけれども。


 その42 橙子さんってネロに勝てそうな気が

 橙子さんの使い魔なんですけどね。あの平面影絵猫。勝てそうじゃないですか?
 ネロの使い魔は蘇生する為には一旦ネロの体内に戻らなければならない。けどあの平面影絵猫なら敵を食べちゃうわけですからね。そしたら本体に戻って蘇生なんてできないでしょう。
 更に言うとネロの獣達の攻撃手段は物理的な攻撃であるから一切通用しない。時間はかかるけど666の獣達を全部食べてしまえそう。

 もっともあくまで影絵猫は一匹なので、圧倒的多数の獣達を一度に相手する事は不可能。その間に主である橙子さん本人に襲い掛かる獣達もいるでしょう。そのあたりを想定してうまく対策を練らなければならないですけどね、橙子さんが勝つためには。あと勿論影絵のカラクリを悟られないようにせねばなりませんね。


 その43 義眼(2)

 なんで橙子さん義眼作ってくれなかったんーの続き。
 警察に知られたからというのはどうか。警察や、そして運ばれた病院に眼の傷の事を知られた後で急にコクトー君の眼が元に戻ってたりなんかしたら不自然だろう。それがきっかけとなって橙子さんが協会に見つかる可能性も。例え情報操作をしようとも。
 "両儀式"が眼を治してあげるーって申し出たのはあれだ、彼女の情報操作なら魔術師達がやるソレとは比べ物にならないほど隙がないからだとか。
 式が義手を作ってもらった時には元々の腕が使い物にならなくなってた事を一般には知られてなかったわけですし。
 あ。でも義手を食いちぎってできた傷は警察に見られてる可能性も…。むぅ。


 その44 呪文

 同じ魔術なら全て同じ呪文を用いるものだと思ってましたけどね。要するにこれは魔術を起動するためのパスワードみたいなもの…なんかな?

 言葉が魔術回路、という事から言葉自体にこもっている魔力によって外界に直接干渉し、魔術を発現しているというイメージを抱いていましたが…。
 でも実際には言葉という魔術回路の役割…少なくとも呪文としてのソレは、魔術を直接発現させるものではなく、自己暗示という形によって他に存在している「外界へ働きかける為の回路」に力を与える、或いは増幅してやるというモノ、だったんでしょうかね。鮮花が魔術はその身に刻むものと言ってたけどこの、自身に刻んだものとやらが直接外界へ働きかける為の回路なのかな?
 この考えの裏づけになるのがアルバの「Repeat」。一度呪文を唱え終えた後であるならば最初から唱えなおさなくてもこの「Repeat」という単語を口にするだけで何度も同じ魔術を発現させることができている。もしも呪文自体が直接外界へ干渉してるのなら同じ呪文を何度も繰り返さねばならない筈。

 まあ、よくよく考えてみたら当然っちゃあ当然ですね。だって呪文自体が直接外界に干渉できるのなら魔術師以外の人間が同じ呪文を唱えるだけで魔術を使えてしまう。
 拳銃に例えるなら呪文を唱えるという事は引き金を引くという事、それによって魔術が発動すると言う事は弾丸に火が入って発砲、と。
 魔術師以外の人間がただ呪文を唱えても、体に魔術を刻み込んでいないから弾丸が入ってない状態で引き金を引くのと同じというわけで。

 ルーンの方も同様の理屈なのかな? 文字自体が魔術を発現させるわけでなくて、その文字をキーとして魔術師が魔術を発現させているのかな?


 その45 呪文(2)

 弓矢だ。弓矢ですわ。自分の中での呪文と魔術に関するイメージですが、拳銃よりはこっちの方が。
 ええと、呪文をとなえるという行為は弦を引き絞るという事。
 弦の反動で矢が飛ばされるのが魔術によって引き起こされた現象。
 長い呪文の詠唱で魔術の威力を高めるというのはより強い力で弦を引き絞ると言う事。
 魔術師でない人間が呪文をとなえるという行為は矢をつがえずに弦を引き絞る行為。
 そう考えるとわかりやすいかな? こんな感じのイメージで。


 その46 言語療法士

 橙子さんや荒耶は式の入院していた病院に言語療法士として招かれていた事があります。
 調べてみたところ、この言語療法士という職業は現在の日本では資格を持っていなくても構わない(持ってれば有利ではあるようですが)らしいですね。間違ってたらすみません。

 で、思ったんですがこのふたり…資格を持っている・いない、どちらの可能性もありえそうな感じ。
 持っていない場合なら自分の研究に忙しい魔術師であるわけだし、学校に通って資格をとる、という行為とは縁遠そうという事で納得がいく。
 橙子さんなど教習を受けずに運転免許を試験だけで取得してますし。といっても運転免許の取得条件が教習必須だったら彼女と言えど教習を受けていたかもしれませんが。
 逆に持っていたとするなら、橙子さんの場合は学院に入る前なら、荒耶は…今代の彼は過去なにやってたんだかよくわからん人ですが、資格をとる時間くらいはあったとしても不思議はないです。

 どっちにせよ大きな病院に招かれるくらいだからふたりとも資格の有無に関係なく言語療法士としての実力は高かったんじゃないでしょうかね。
 気になるのはなんで言語療法士としての知識・技術を身に付けたのか。
 やっぱ橙子さんの場合は人形作りに役立てるためだろうか。それだけでなく彼女の場合、人体に関する知識は言語療法士の専門分野に留まらない事が痛覚残留などを読んでいるとよくわかります。人間と同等の人形を作り上げるためにありとあらゆる医学的知識を身に付けたのかも。
 荒耶の方は、専門分野ではありませんが人形作りはやってたみたいですから、その為に身に付けたのかな?


 その47 GODO=偽神=神もどき

 さて、今度は統一言語師の話なんですが。まずは彼の異名"ゴドーワード"についてちょっと。
 もう随分前になりますが、ゴドーワードの"ワード"の部分は良いとして、"ゴドー"ってなんだ? と疑問に思って、ちょっと検索して調べた事がありました。

 どうやらドイツ語で「GODO」。意味は「神のごときもの」であるらしいです。
 勘の良い人はもう気が付きましたよね。ずっと前から気が付いてた人も結構居るのでは?

 ええとつまりですね。今回のは「GODO」って月姫読本に掲載されていたきのこさんの小説「Notes.」の主人公の異名がまさにソレでしたよねって話です。
 日本語で銃"神"なのだから"GODO"って"GOD"を元にした造語かなんかだろうか? などというたわけた事を「Notes.」を読んだ当時は考えてたりしました。…ちゃんと調べりゃそんな阿呆な想像はしなかったのにな(汗)
 このGODOという単語、「神のようにすごい」というポジティブな意味なのか、「神のできそこない」とかいうようなネガティブな意味なのか、はたまたどちらの意味で使われる場合もあるのか、そこまで突っ込んだところは検索しただけではわかりませんでしたが、少なくとも銃神に関しては「神もどき」と馬鹿にされてたみたいなんで、ネガティブな意味で使われていたのは確かでしょうね。

 となると、銃神がアリストテレスに唯一決定的な打撃を与えられる存在でありながら生命種としては最弱であった為に(?)皮肉られたように、日本語訳で"偽神の書"とされるゴドーワード。こちらも魔法使いに最も近いといわれるほど優秀でありながら魔術師としてのスキルは低い彼を周囲の人間が皮肉ってつけたあだ名だったりするかもしれませんね。


 その48 統一言語

 ゴドーワードこと玄霧皐月。彼の操る統一言語。いやぁ、イイッスね。お気に入りです。
 そもそも自分が月姫、ひいては空の境界に惹かれた理由の中でも特に大きいのが主人公の能力である直死でした。なんというか自分、制約やリスクを伴う事と引き換えにその分野における究極とも言える効果を叩き出すという、そういったタイプの能力に惹かれる傾向にあるようです。
 なんでHUNTER×HUNTERのクラピカの能力とか結構好きです。けどあちらは能力の割に制約・リスクが小さい気がするし、その能力自体があまりにも万能過ぎるので直死や統一言語ほどには震えは来ませんでしたけれども。
 RPGなんかでMP制限がなくなって強力な魔法をガンガン使えたら興ざめですよね。それと同じ理由です。自分、HPを削るとか、数ターン行動不能になるといった制約・リスクを伴う特殊攻撃を特に好んで使用してますし。
 なわけで例えば空想具現化に人体に直接作用させる事ができないという短所がなかったらやっぱり面白くないと思いますですよ。
 そんな人間であるからこの統一言語、思いっきりツボでした。はい。


 その49 玄霧皐月は何故全ての言語を操れるのか

 現代の言語は種類によって違ったカタチを与えられたものであるようだ。故に特定のモノを表現するにあたってそれぞれのカタチに応じてそのモノの意味に近い言葉を当てはめてるという作業が間に挟まっている。
 対して玄霧皐月の統一言語は橙子さんいわく、カタチを持たない言語であるらしい。ならば前述の作業は必要とせず、そのモノの意味を直接表現可能なのだろう。
 といってもそもそもカタチのある言語というのはまだわかるけど、反対にカタチのない言語って具体的にどういうものなんだかよくわからないのだけれども。いや、それがわからないからこそ統一言語師は玄霧皐月ただひとりなのかな??
 ともかく、全てのカタチある言語はそれぞれのカタチに応じた表現を用いてはいるものの、いずれにせよその共通点はモノの意味を表現し、意思の疎通を図るという事である。ならばカタチがなく、直接その意味を表現できる統一言語が全ての言語の上位に位置するいわば原型であり、現代の全ての言語はそこから派生したものであると言えるのかもしれない。
 だとすればそれを操る玄霧皐月が世界のあらゆる言語に精通しているのも納得がいきますやね。分岐点よりも上からならば分岐後の全てを見渡す事が可能ですから。


 その50 魔術回路としての統一言語

 現代の言語によって形成された呪文は、(多分)直接外界へ干渉するものではなく、いわば自分自身という内界へと干渉するための魔術回路でした。

 対して玄霧皐月の操る統一言語はどうなんだろう。これは橙子さんの説明にある通り、現代において用いられている人が人に話しかけるための言語とは違い、人が世界に語りかけて意味を決定させるものであるらしい。

 ところが人が人に話しかけるための言語は種類毎に違ったカタチを持っている。これでは同じモノを言葉で表現しようとも、言語によって違うカタチの言葉が当てはめられてしまう。故に同じ言語を知る者同士でしか意思の疎通ができない。
 だから人が人に、中でも同じ言語を知る者に話しかけるための言語なのであり、自分を含めた人へ干渉するのには充分な力を持っているが、反面人以外の存在へ干渉、つまり外界へ干渉するための力は持ち合わせていないと言えるだろう。あくまで人同士の意思疎通の手段であるから。
 まあ、外界のあらゆるモノがこちらの言語を理解してくれれば外界への干渉も可能なのだろうけど、それは実質ありえないので。
 また、対象が同じ言語を知る人間であれば、自分自身という内界に限らず他人への干渉も可能なんでしょうが…その場合は呪文ではなくて催眠術とか暗示の類、という事になるんでしょうかね。

 言葉は代表的な魔術回路として挙げられてましたが、それは対象が同じ言語を知る人間という条件に限って言えばで強力な干渉力を持つからなのかも。

 対して人にではなく世界へ直接語りかけるという統一言語の方は、直接外界へ干渉する事が可能なのではないだろうか?
 そうだとすると魔術師としての能力が低い筈である玄霧皐月があれだけ強力な外界への干渉をみせたのも納得がいく気がします。
 魔術師が自身に刻むというモノが仮に外界へ働きかける魔術回路であるならば、玄霧皐月はそれのポテンシャルが低い、或いはポテンシャルを引き出すのが下手なのだろう。
 だがそれに頼らずとも、彼は操る言語自体がいわば人間のみならず外界のあらゆるモノにまで干渉する事を可能とする魔術回路なわけですからね。


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