まず、魔眼によって視る事が出来たモノを列挙してみる。順不同。
■"死"という概念
■幽霊(世界の記録)
■妖精
■意識
■思念
■秋葉の檻髪
これらの共通点は何か。考えてみたのだが、「意識、及びそれにより生み出されたモノ」というのはどうだろうか。
"死"という概念。これは概念であるという事から説明がつくだろう。
幽霊。これは世界の記録であるらしい。世界に意識などあるのか? と思われるかもしれないが、月姫でも「意思」はあると言われているし、空の境界においてはその世界の意思が抑止力を生み出している。意思があるならば意識があっても不思議はないかもしれない。
そして記録とは観測者によって意味を与えられなければありえない物である。更に、世界がその観測者となる事もある事が空の境界によって明らかにされている。意味を与える事が出来るという事は、与える側は思考している、つまり意識があるという事ではないだろうか。
妖精。これは肉体を持った生命体であり、概念だけの存在ではない。だが、「妖精という存在」という概念ならばその肉体と共にあるだろう。
肉体をなんらかの手段によって視認できなくしていた妖精の存在概念を魔眼によって捉えていた、という可能性もありうるのではないだろうか。
意識。意識だけの荒耶を橙子さんが視ていたが、これはそのままなので説明は必要ないと思う。
思念。黄理の眼によって視れたモノ。これも敢えて説明するまでもないと思う。
秋葉の檻髪。これに関して以前は彼女の力の流れそのものであると考えていたのだが、最近ふと違う考えを思いついた。
それは、琥珀ルートラストでの秋葉との戦闘における描写の中にも見られる通り、秋葉が思い描いたイメージその物だったのではないかという考えである。
つまり、以前は秋葉のイメージとその力の流れが同じ形状を取っており、志貴が視ていたのは後者の方だったのだろうと考えていた。だが現在はイメージと力の流れの形状が同じであるかどうかはわからないが、少なくともあの場で視えていたモノはイメージそのものだったのではないかという考えに変わったわけである。
よって志貴がその髪を切断する事によって秋葉の能力を無効化できたのは、熱を略奪せんと働きかける力を直接無効化したのではなく、その力を発動させるためのイメージを切断し、イメージに起因して発生する筈だった力をも無効化していたからではないだろうか、という事になる。
この考えだと志貴の眼が父・黄理からの遺伝による物である事とより上手く噛み合う。
志貴の眼が「混血が能力が発動した際の力の流れ」を視るモノであるならば、同じ魔眼でも黄理のそれとはかなり性質が違うモノだという事になる。だが志貴が視ていたものが「イメージ」であったならば、ふたりの眼の性質はかなり近いという事になる。
以上の事から考えるに、魔眼とは本来五識では認識する事の出来ない、第六識によって認識するモノを眼識によって認識できるようにしたモノなのではないだろうか。
そうなると、式が例え眼を潰したとしても"死"は視えてしまうであろう事にも説明がつく。
本来それは眼識よりも意識によって認識するモノだからである。眼識を司る器官が機能しなくなったとしても、意識を司る器官が無事であれば"死"は視えてしまう、という事だろう。
また、「有り得ざるモノ」という表現に関しては、意識だけの世界では「有る」し、物質界にも影響を及ぼしているが、物質界における存在としては「無い」。
つまり、「物質界には有り得ざるモノ」という意味なのかもしれない。
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