志貴は何故
結界を越えられたのか


 夜の公園で志貴が先輩の張った結界を越えて公園に入っていくシーンがあるが、何故彼は結界を越えられたのか?

 まず、この時の結界がいかなるモノであったかを考えてみる。
 空の境界での橙子さんの説明からもわかるように、結界とは必ずしも見えない壁などで物理的に特定の区域を隔絶するものだけを指すのではなく、その区域に入ろうという気が起きないよう暗示を働かせるものも含む。
 ならば問題のシーンで公園に存在していた結界とは、単に外灯を消しただけの事で機能していたものなのではないだろうか。ただでさえ通り魔事件が多発して物騒な時期に真っ暗闇の公園に好き好んで入っていく人など普通はいないだろう。

 志貴が入れた理由としては、私は以前TYPE-MOONさんのネタバレ掲示板で「志貴が人外専門の暗殺者だから結界を越える術を知っていた」などといった内容の推測を書いた気がするが、それは当時は公園の結界は暗示で人を寄せ付けなくするタイプだと思ってはいたものの、具体的にそれをどうやっていたのかまでは想像がつかなかったためであり、今では考えが変わっている。

 もしも結界を成立させている暗示が外灯を消した事によって働いているものだと仮定するならば、少し強めの動機さえあれば公園に入ろうという気になれるだろう。
 よってこの時志貴は、たまたまアルクェイドを探していたところ公園から物騒な音が聞こえ、彼女ならそんな騒動の原因になっていたとしてもおかしくないと考えたから――つまり、通常なら中に入ろうなどという動機が発生しにくい状態である暗闇の公園に入る動機が出来てしまった、という事ではないだろうか。


戻る