この文章は元からあった考察に歌月トークで述べた事を加筆・修正したものです。
志貴はアルクェイドを見た途端、突然人が変わって彼女を殺してしまっている。その理由は結局最後まで明かされる事は無かった。もっとも、月姫をコンプリートした人ならば大抵あれがなんだったのか気付いてるだろうと思いますが……。
結論から言ってしまえばやはり七夜の血による人外のモノへの殺害衝動が原因なのだろう。アルクェイドのようなとびきり高い戦闘力を誇る吸血鬼だからこそあれだけ激しい反応をしたものと思われる。
だがこれに関してひとつ疑問がある。その疑問について述べる前に、まずは七夜の殺害衝動が何故起きるのか、その仮説について述べておく必要がある。
そもそも超能力とはヒトの無意識が生み出した抑止力であるらしい。
そして「赤い鬼神」の七夜に関する解説の中に、近親による交配を繰り返した事によって本来一代限りである超能力の色濃い継承を実現し、かつ人間として身体性能を限界まで鍛え上げた結果として単なる異能の一族ではなく、ヒトの退魔意思を特出継承する一族となったとある。
「ヒトの退魔意思を特出継承」という事は、七夜の殺害衝動はヒトの中でも特に極端にヒトとしての側面を色濃く継承していった結果、阿頼耶識の影響を強く受けるようになったため(?)発生する退魔意思のあらわれだという事なのかもしれない。
もしそうならばこの殺害衝動が向けられる対象は、アラヤの怪物の抹殺対象と同じである可能性が高いと思われる。
ここで先程の疑問が浮かび上がるわけである。
「朱い月」にてロアが、ヒトの無意識は真祖を容認しているが故に、アラヤの怪物も真祖を抹殺対象とみなさないと述べている。
だとすると七夜の殺害衝動が阿頼耶識の影響によるとした場合、これが原因で志貴がアルクェイドを殺してしまったのだとすると矛盾が生じてしまう。
ではいったい何故志貴はアルクェイドに殺害衝動を抱いたのだろうか?
仮説1:そもそも七夜の殺害衝動は阿頼耶識とは無関係
一応筋は通る。だが「赤い鬼神」ではハッキリと述べられてはいないものの、その文章を素直に解釈するとやはり阿頼耶識と関係があると考えた方がしっくりくる。
仮説2:阿頼耶識と繋がりがあるという共通点があるとはいえアラヤの怪物とは抹殺対象が少し違う
こちらも筋は通る。仮説1よりも説得力があるかもしれない。が、何故抹殺対象が違うのか、その根拠や裏付けがない。
仮説3:アルクェイドが朱い月と同位の存在であるから
「朱い月」にてロアが、アラヤの怪物は他の真祖に対しては上で述べたような理由から抹殺対象とみなさないにしても、真祖のオリジナルである朱い月となると話は別、とも述べている。
つまり現段階で次代の朱い月候補No.1であるアルクェイドは極めて朱い月に近いが故に、志貴も殺害衝動を抱いたのではないか、という事である。
現時点では個人的にこれが一番納得のいく仮説だと思う。
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