8年前の事件で
槙久を呼んだのは誰か

 8年前に四季は志貴を殺した後、槙久によって処断された。この時何故槙久は事態を知り、その場にかけつける事ができたのだろうか。
 同じ遠野の人間ならば離れていても誰かが反転した気配を察知できるから、という可能性もなくはないが、シエルシナリオにおいて四季が「誰かが親父に密告した」といっている。やはりここは誰かが槙久を呼びにいったのだと考えるべきだろう。

 ではそれは誰だったのか?

 当然の事ながらその人物は事の一部始終を見ていた事になる。そうなると候補にあがるのは翡翠と琥珀のみである。
 翡翠は志貴が殺される場面を見ていたという。同様に琥珀もいつもの窓から見ていたらしい。ただし琥珀はそこからずっと眺めているだけであったようだ。となると消去法で翡翠という事になる。
 翡翠自身は槙久を呼んだとは言っていないが、志貴達が当時遊んでいる時に誰か大人が側に付いていたかのような描写は見られない。当の事件の際も同様である。よって大人達の誰かである可能性は低い。
 以上の事からやはり槙久を呼びに行ったのは翡翠だったのではないかと思われる。

【01/5/28 追記】

 翡翠じゃないようです(笑)
 実は前回の文章を書いていた時に私も何か違和感を覚えていたんですが。どうも翡翠は志貴が殺された時に何もできなかったとどこかで言っていたような記憶が微かにあったんですね。しかし翡翠ルート終盤の、学校へ行く前の夜の森での会話内容を確認した時に、殺される場面を見ていたとは言っているがその後何もできなかったとは言ってないな、と判断してそのままアップしてしまいましたわ…。
 で、何人かの方からご指摘いただいてあらためて片っ端からチェックしてみました。前述の夜の森のシーン以外にどこかでそういうセリフがなかったか、と。ありましたよ。部屋に閉じこもった志貴がようやく扉を開けた後の会話でしたね。しっかり「なにもできなかった」「助けを呼ぶこともできなかった」と言ってましたね。はい。
 ご指摘くださった方々、本当にありがとうございました。
 それにしてもなんでこんな重要なシーンのセリフを忘れてるかっ。俺の馬鹿っ(汗)

 さて、再び考察。

 そうなると一体呼びに行ったのは誰なのか、ということになるのだが。
 翡翠も違う。琥珀も違う。四季が「誰かが親父に…」という言い方をしている事から彼の目の前にいた秋葉は論外。そもそも彼女は志貴に対して共融の能力を発動した後は意識を失ったらしいので物理的に不可能である。そして事件当時周囲に大人がいたという描写もない。描写がないだけで実際はいたという可能性もあるがそこまで考えるときりがないので却下。

 以上のような状況において槙久が事件を知るに至る経緯として今私が考え付くものは以下の通り。

 1:事件当時屋敷の中にいた大人達(*1)が槙久に伝えた
 2:槙久は遠野の人間が反転した気配を察知する事が可能
 3:琥珀の感応能力


 1について。屋敷の1階の窓からの場合は不明だが、少なくとも琥珀の例より2階の窓からは志貴達の居た場所が見えたという事がハッキリしている。ならば彼女以外にも誰かが別の窓から偶然事件を目撃していた可能性も考えられる。
 よくよく考えてみると屋敷にいた人間の方が翡翠より早く槙久に事態を伝えることができる。四季は志貴を殺した後さらに追い討ちをかけようとしていたらしいので、仮に槙久を呼んだのが翡翠だったならば流石に手遅れになっていたかもしれない。
 だから屋敷にいた誰か、と考えるのが一番無理がないだろう。ただ、あんまりにもフツー過ぎて面白くない結論なのが残念(笑)

 2については前回の考察では軽視していたのだが…ありえない事でもないかもしれない。
 槙久はその手記の中で、秋葉の方が四季より潜在的なレヴェルでは旧い起源を感じる・遠野の血の濃さでは四季の方が上回ってるなどと述べている。この事から子供達の能力が覚醒する前の段階からある程度それを感じ取っていた可能性があるからである。ならば反転した気配を察知できたとしても不思議はないだろう。

 3は当時の琥珀は感応者として未熟だったため槙久に事件を目撃した時の視覚情報、もしくは思考が流れてしまった、という事である。しかし感応能力とはそのような事も可能とする能力であるかどうかが不明であり、想像の域を出ない。


 *1:前の考察における「屋敷にいた大人達の誰かである可能性は低い」という部分ですが、これは「当時屋敷に住んでいた、或いは働いていた大人達」という意味で書きました。紛らわしいので今回修正しました。


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