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ジーク・ザ・ライズン物語


 レミーナを仲間に加えたヒイロ一行は、テミスを発ち、ノートへと向かった。

 怪物と戦いながら山道を行く彼らを、影から見守る男が一人…。
「ふふふ…もうすぐ。もうすぐだ…」
 星竜の分身こと、ジーク・ザ・ライズンである。
「ふふふ…メガCD版でもナカナカ華麗な登場をしたが…今回はさらにエレガントに決めて見せようぞ…」
 彼は、ゲームがサターンに移植されたことで、音楽やグラフィックがキレイになったので、メガCD版よりかっこよく登場できると、わくわくしながら出番を待っている所だ。
「おっと、そろそろ出番かな。準備をせねば…銃を使うのも久しぶりだな。どれ、試し撃ちでもしてみるか」
 ジーク・ザ・ライズンは、嬉しそうに懐から銃を取り出すと、その辺の岩に一発打ちこんだ。

 と、その時…。
「今だ!取り押さえろ!!」
 突然岩陰から現れた人物に両腕を固められ、銃を奪われてしまう。
「ブツは回収しましたわ!」
「よし。くれぐれも指紋はつけるなよ!」
「な、何だお前等は!!」
 ジーク・ザ・ライズンを取り押さえているのは、警官服を着た獣人族の仮面男と仮面女であった。
「あ、犬のおまわりさん!?」
「黙れ迷子の子猫ちゃん!銃刀法違反の疑いで逮捕する!」
「は?」
「とぼけても無駄ですわ!あなた、メガCD版同様、ここで銃を乱射するおつもりでしょう!メガCD版での証拠の映像もありましてよ!!」
「しかし、見たことのない型だな。密輸の可能性もある。とりあえず、署へ連行するぞ」
「ま、待て!そんな法律は聞いたことがないぞ」
「聞いたことがないですむと思って!?それぐらい常識でしょう!」
「じゃあ剣はどうなのだ!店で堂々と売っているぞ!銃刀法違反ではないのか!!」
「ルナの世界では、刃渡り3m以内のものであれば所持が認められているのだ!」
「そんな法律に意味はあるのか!?」
「おだまり!少しはおとなしくしてくれませんこと!」
「は、離せ!本当に知らなかったのだぁぁぁぁぁぁ!!!」



 一方、ヒイロ一行は…。
「おかしいですね、ヒイロ。星竜は、この辺りで出たはずなのですが」
「そうだねルーシア。…でも、出てこないなあ」
「一体、どうしたのでしょう」
「…まあ、戦わないにこしたことはないさ。さあ、先を急ごう」



 こうして、サターン版での出番を失った、ジーク・ザ・ライズンは、署でみっちりと説教されたのであった。

「くっ…プレステ版では復活してやる!!」
「そう簡単に解放されると思うな」

 解放されなかったという。


(終)

あとがき

どうして移殖版ではジーク・ザ・ライズンの出番がないのかなーと考えていたら、こんなコントができました。
…結果、原因はルナの法律と仮面の白騎士と仮面の赤神官のせいになってしまいました。
この二人は、意地でも登場させないと気がすまないのでしょうね。私。
まあ、実際の彼の出番がなくなった理由は分かりませんが。

それはそうと、私たちは私たちの世界の常識を守りましょうね。






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