クヴァレからIBFが見える?

 5月6日、中央制御室での空との口論の際につぐみが、密かに端末を操作して得た情報やクラゲゴンドラことクヴァレから下を覗いた事で、ドリットシュトックよりも下にある施設の存在を確信したと言っている。

 しかし端末から情報を得た事に関しては良いとして、果たしてクヴァレが存在する水深34メートル地点から水深119メートル地点に存在するIBFを視認することが可能なのだろうか?
 勿論常人には不可能だと思う。そもそもIBFの存在を隠すためのカモフラージュを兼ねたLeMUから肉眼で確認できるようでは本末転倒である。そしてつぐみが赤外線視力を持つからといって流石にそれだけで80メートル以上下の海底の様子を視認できるかどうかはあやしいものである。

 だが、確かに彼女はクヴァレからIBFの存在を確認したらしい。ならば考えられる可能性がふたつ。

 ひとつは海底に存在するという熱水噴出孔である。
 熱を発している物体は赤外線を放射している。つまりこの熱水噴出孔がいわば赤外線照射装置の役割を果たしていたからこそ、赤外線視力を持つつぐみであればクヴァレからでもIBFを視認することが可能だったとも考えられる。

 だが、同じく赤外線視力を持つホクトが天国石を抱えて飛び込んだ時には特に何かが見えたという描写はない。したがって熱水噴出孔は前述のような役割を充分に果たせていなかったという可能性もありうる。
 素もぐりだったのでクヴァレからガラス越しに覗くのと比べれば視界が悪かった事、水深何mまで潜行したのかが書かれていなかった事からひとつめの可能性を完全には否定できないが。

 しかし仮にそうだとした場合、ふたつめの可能性として考えられるならば、つぐみが見たのはドリットシュトックから更に下へと続くリフトか何かだったという事だろうか。
 沙羅シナリオ終盤でホクトは階段が放つ微かな赤外線を見て、暗闇の中でも問題無く沙羅の救出に向かう事ができた。そして熱水のおかげで少なくともドリットシュトック周辺の水温は他よりも高いと思われる。
 ならば高い水温によって暖められたドリットシュトックおよびIBFへと降りるリフトをつぐみならばより鮮明に視認できたとしても不思議はないかもしれない。


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