パスワードの謎
データベースにアクセスするために必要だったパスワードに関する疑問点について考えてみる。
【紙を倒さないと読めなかった理由】
紙に印刷された俳句を読むためには2次元存在に近い視点で見なければならない。つまりこれはブリックヴィンケルを錯覚させて3次元存在に近い視点を与えるという計画の内容にちなんだ仕掛けだったのではないだろうか。
もしもプリントアウトすると自動的に紙面にはあのように印刷されてしまうよう優春が仕掛けていたのであれば優春が、あのように印刷されたのが単なるミスか何かであったのならばシナリオ担当の方が前述のような意図を込めていたのだと思う。
【俳句に含まれる漢字】
「海月の虚空に秋涼し時鳥」
この俳句に含まれる以下の漢字に注目してみる。
「海」「月」「虚」「空」「秋」「涼」「時」「鳥」
これは「海」「月」で「つぐみ(月海)」、「虚」「空」で「空」、「秋」が「優秋」、「涼」が「涼権」を指しているのではないだろうか。つまり、この4人はそれぞれが計画の内容を知っているかどうかは別にして、ブリックヴィンケルを騙すという役割を負った者達であると言える。
沙羅はココの役というわけではない事から、ホクトは後で述べるアナグラミング後の文章に唯一名前が出ている為バランスを考えた結果として、この中には含まれていないのだろう。
「時」「鳥」だが、これは騙される側である「ブリックヴィンケル」の事ではないだろうか。
「時」と「鳥」で彼が時間の流れに束縛されない存在である事を示していると解釈できるだろう。
そして地上しか歩く事の出来ない生物の視界に対する上空から地上を俯瞰できる「鳥」の視界は、3次元存在に対する4次元存在のイメージと重なる。よって「鳥」は第3視点を持つ事に由来すると解釈できるかもしれない。
まとめると、空ではなく時間の流れを飛び越え、地上ならぬ3次元空間を俯瞰する事を可能とする鳥=ブリックヴィンケル、という事ではないだろうか。
「虚」が「ココ」を示している可能性も考えたのだが、同じく助けなければならない「武」の名前に該当する文字が見当たらないのでバランスが悪い。
また、つぐみとブリックヴィンケルを2文字で示していたのであれば、「空」も「虚空」の2文字によって示したとしても不思議はないだろうと判断した。
そして2文字使用して表現された3人は、17年という時間を経ても大きく変貌する事はない存在であるという共通点がある。
完全なキュレイ種であるつぐみは不老不死、空は機械であるから人間のように老化しない、そしてブリックヴィンケルはそもそも3次元空間における時間の流れの影響を受けない。
涼権はおよそ5年分成長しているのでこの点には当てはまらないだろう。
【アナグラム】
「うみつきのこくうにすずしほととぎす」
↓
「ホクトのこすうみ、すぎしときに、つうず」
俳句はアナグラムであり、ココが本編で教えてくれる上記の解答を漢字も用いて書き直すと、
「ホクト残す海、過ぎし時に、通ず」
となるのだろう。意味は「ホクト残す海」が事故の際ホクトが取り残された海、つまりLeMU、もしくはLeMUが存在する海で、「過ぎし時に通ず」は過去、つまり2017年に繋がる、というものではないかと思われる。
よってこのアナグラムは計画の大まかな筋書きを意味していたのではないだろうか。
結論としてここまでに挙げたパスワードに関わるみっつの仕掛けは、2034年に実行される計画に必要な様々な要素を違ったカタチで表現した、いわば優春の暗号メモのようなものだったのではないだろうか。
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