北条の叔母を殺害した犯人は
山狗だったのではないだろうか。現場に犯人の痕跡が残されていなかったという。素人の悟史にそのような犯行が可能であったとは少々考えがたい。それが可能だとしたら山狗以外にはありえないだろう。
悟史による犯行の後に山狗が現場に残された悟史の犯行を示す痕跡を全て処分したという可能性は低いと思われる。タイムテーブルを見ていただければわかるとおり、そのような時間的猶予はないと思うのだ。
そして北条の叔母の殺害は鷹野さんの「オヤシロさまの祟り」の実現の為の前準備としても都合が良いといえる。鷹野さん・山狗側にしても充分に動機はあったと言えるのではないだろうか。
そして、犯行現場を見せられた入江先生の不審なリアクションは、鷹野さんたちが動いた可能性に思い当たったが故なのではないだろうか。
表向きこの事件の犯人とされている麻薬常習者に関しても、彼らによる偽装の結果だったではないだろうか。彼らならそれだけの力はあると思われる。
悟史の行方について
鷹野さんは結局悟史を殺したのかどうかについては明言しなかった。個人的にはああいう言い方をされると殺されてはいないような気がする。彼女の性格から考えても敢えて肯定も否定もしないという嫌がらせをしそうな気がする。
では、具体的に悟史はどうなったのか。恐らくは入江機関によって拘束され、治療を受けているのではないだろうか。
物語の一番最後に登場するマニュアルの内容を読むに、彼らならば悟史を拘束し、その存在を隠すという行動にでる可能性は高いと思われる。加えて生きたまま拘束するのが望ましいようにも書かれている事から、彼の生存確率は高まると思われる。
また、悟史が東京に向かったとする偽の情報を用意するだけの力もあるだろう。
ところで悟史失踪直後の入江先生の様子が気になる。
目明し編で大石さんから悟史の失踪を聞かされる直前に、詩音は入江先生と顔をあわせている。その際の彼はまるで悟史の失踪など知らないかのようであった。警察が関わるほどの騒動であったにもかかわらずこれは、少々不自然であるかのように思える。
祟殺し編のTIPSにおける、詩音との会話も意味深に見えてくるのだが……。
雛見沢症候群の嘘
まず女王感染者の死によって48時間以内に村人全員が末期症状を、という事は綿流し編・目明し編を見れば明らかな通り嘘、或いは間違いである。梨花が死んでからそれ以上の時間が経過しているが、前述のような事態は発生していない。
このような嘘、或いは間違いの原因は何か。個人的には高野一二三氏が怪しいと思うのだが……明確な裏づけは見つけられなかった。
そもそも女王感染者の死という前例が無いのに、どうやってこのような事態が起こるであろう事を実証したのか。それに関しても特に作中で述べられてはいなかったように思える。
上記の女王感染者の件が事実ではないとなると、一瞬雛見沢症候群の存在その物も疑わしく思えた。しかし入江機関はこれまで研究を続けていられている。実際には何も無いのにそれがあるかのように振舞い続けるなど無理がありすぎるだろう。
また、あらゆるシナリオにおいて誰かが疑心暗鬼に陥って惨劇を引き起こしているのは事実であり、その要因自体は実在していると思われる。
雛見沢特有の風土病はあるのかもしれない。もしかしたらその数々の特徴が、研究者である入江先生たちに対して前述のような「誤解」を招きやすいものであったのではないだろうか。
理想的な結末を迎えるためには
その為に必要な要素を思いつく限り列挙してみる。
・村内における北条家に関するしがらみの解消
これは今回の圭一のリーダーシップもあって実現した。
問題は次のシナリオでも実現できるのかどうか。あまり時間を巻き戻せなくて、既に実現後の時点から物語がスタートするのであればわりと楽なんでしょうけれども、どうなんだろう。
・大石さんとの協力体制
これまでのシナリオに比べれば大石さんとはより理想的な協力体制をとることが出来ていたと思われる。
だが、梨花が彼に全てを話そうと決意した時には既に彼が山狗と遭遇する可能性が高まってしまっており、手遅れだった。もしも梨花の決断がもっと早い段階で行われていたら……?
今回のシナリオで、大きな物事を成す為には集団の相互理解が重要である事が語られているのは言うまでも無いことであると思う。暇潰し編のTIPSにて述べられていた「石臼」の例え話もまさにそれだったのだろう。
雛見沢の真の団結は成し得た。だが大石さんをはじめとして警察との本当の相互理解には残念ながら一歩及ばなかったのではないかと思う。それが今回の敗因の一つだったのではないだろうか。
・富竹さんの生存
今回梨花が綿流しの祭りの際に足掻いた結果、結局富竹さんが殺されてしまった事には変わりないが、しかしその際の不審点に気付く事が出来た(遺体の発見場所の違い)。それは大石さんへの情報提供が大きかったといえるだろう。
ならば、先に述べた通り早い段階で大石さんに全てを打ち明け、より理想的な協力体制を築く事ができていたら、富竹さんを救出、或いはなんらかのカタチで死から回避させる事が出来たかもしれないのではないだろうか。
・羽入の協力
敗北後の部活メンバーの幽霊(?)同士の会話からもわかるとおり、最後まで羽入が物語に介入しなかったことが敗因の一つであると言われている。
彼女に出来ることが何かあるのではないだろうか?
彼女は四六時中梨花についていなければならないという制限があるわけでもないのだから、好きに村内を動き回って梨花や圭一たちが「見れない」部分を見る事が出来るのは強みだと思うのだが……。
・赤坂さんの協力
彼の協力も得られたら心強いとは思うのだが、どうなんだろう。今回のシナリオはタナボタ的な協力者をアテにしすぎるのは間違いであると述べているようにも思えるのだが。
そういう事ではなく、まず彼の協力を得る前に自分達に出来る事を全て成すべきであるという事を述べていたのであれば、その上でならば赤坂さんの協力を得るという展開もあり得るかもしれませんけれども。
・滅菌作戦発動の可能性の事前察知
そもそも滅菌作戦が発動したら負けである。自衛隊と戦って勝てるわけがない。
ならばそうなる前に生存した富竹さんから情報を得られれば良いのだけれども……。
或いは。今回部活メンバーが他の世界の記憶を持ち越していたように見えるわけだが、それならば沙都子の記憶が持ち越されれば事前にこの事を知る事が可能であるかもしれない?
何故そう考えたのかというと、祟殺し編において沙都子は「行方不明者」扱いだったからである。
今回のシナリオで一番最後に提示されたマニュアルによれば、この滅菌作戦における「行方不明者」とは、作戦の内容を知ってしまい逃亡したため射殺された村人が該当するからである。
もしかしたら沙都子が祟殺し編で圭一を突き落とした後にどこかで生き延び、作戦の一部始終を見ていた可能性もゼロではないかもしれない?
・雛見沢症候群に関する間違いの発覚
それが発覚してしまえば綿流し編・目明し編同様滅菌作戦は発動されない筈である。
部活メンバーの記憶の持ち越しという現象を頼りにするのなら、前述の滅菌作戦の発動の可能性を知るという前提の上で、更に綿流し編・目明し編で生存した圭一、或いはレナの記憶が戻れば或いは。
つまり、読者視点同様場合によっては作戦が発動しない事を登場人物が知る。そこから何故発動しなかったのか、他の歴史と照らし合わせて考えれば自ずと回答に辿り着くだろう。
そういった超常現象をあてにしないのであれば、こちらも生存した富竹さんから得られる情報が頼りとなるのかもしれない。
・鷹野さんとの和解
彼女は明らかに敵として描かれているように思える。ならば彼女を倒せば終わりなのか?
しかしもしかしたら、それ以外にないと断じるのは早計かもしれない。無論彼女が犯した罪は償わせるべきであると思うが。
奇しくも今回梨花が鷹野さんの知らない一面を知って驚く場面がある。これも問題の解決の為には集団の相互理解が不可欠であり、それは鷹野さんに対しても同様であることを示していた伏線だったのかもしれないと思ったのだがどうだろう。
鷹野さんは自説を妄信して疑わない。TIPSにて読める彼女の祖父が残したと思われるノートの内容にも、「自分を疑ってはいけない」としつこいくらいに書かれている。
それ自体は間違いではないと思う。だが、鷹野さんの場合度が過ぎてしまったのではないだろうか。それでは各シナリオにおいて疑心暗鬼に陥って惨劇を引き起こした人物たちと「他人の意見を受け入れない」という点では共通しており、結果的には彼らとそう変わらないように思える。
他者との相互理解が前述の人物たちが起こす惨劇の回避方法であるのならば、鷹野さんがもたらす惨劇の回避方法も同様なのではないだろうか。
そういえば罪滅し編の最後のTIPSにて赤坂さんが、マインドコントロールに関して触れている。以前私はこれを鷹野さんの話を聞かされ続けた富竹さんが該当するのではと考えていましたが、実際にはもしかしたら祖父の教えに長年こだわり続けた鷹野さんこそ該当するのかもしれないなと、ふと思った。
以下、作成中
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