アニメ涼宮ハルヒの憂鬱雑記(2)

 アニメ版涼宮ハルヒの憂鬱の感想とか。月姫研究室のトップの雑記で書いた奴を一箇所にまとめました。

 5/24:異世界人について
 5/26:第八話感想
 6/6:第九話感想


無題 06/5/24

 涼宮ハルヒの憂鬱・異世界人について
 原作第一巻既読視点で書いてます。致命的なネタバレはしてませんが、僅かなネタバレでも気にする人は読まない方が無難かもしれない。そして例によってわりと縦長。

 第五話感想キャラ雑感にてキョンに関して、ハルヒの衝撃の自己紹介にあった「宇宙人」「未来人」「超能力者」は実際に登場しているのに「異世界人」に該当するキャラはいないが……もしかして最初の三人が揃ってSOS団に属している事から残るキョンがこれに該当するのでは、などというような事を一度書いておきながら、しかし削除した。

 また、その後これに関連して。

 まず主人公であるキョンはいわば、視聴者が作品世界を「観る」為に必要とする分身のようなもの。
 次に、「作品世界」と「我々視聴者が存在する世界」はお互い「異世界」であるとみなす事が出来るかもしれない。こう考えると、キョンはいわば異世界人と関りのある存在だとみなす事もできる。強引かもしれないけど。
 ここで量子論的設定をこれまた強引に持ってきてみる。すると作品世界は視聴者に観測される事によって初めて存在できるとみなす事ができる。故に、ハルヒにとって自身を観測するキョン(視聴者)は特別な存在である。
 こう考えると、作中における情報統合思念体と長門の関係は、作品世界を観測する視聴者と作品の主人公の関係の暗喩だったのではあるまいか。
 そういえばオープニング曲の歌詞に「私を見てよね」というくだりがあるが……ってこれは考えすぎか?

 てな感じの文章を備忘帳に書き込んであったんですが、しかし量子論的設定が絡んだ世界観なのかどうかという肝心な部分がそもそもわからなかったので結局アップせず。
 ところがですね、原作一巻を読んでみるとどうにもソレっぽい記述があったりしまして。ならばもしかして、案外的外れな妄想というわけでもなかったのかな、と今は思っていたりもする。
 尤もだからといってこれが正しかったとするほどの裏づけにはならないんですが。

  5/24 / 5/26 / 6/6



無題 06/5/26

 落ちてきませんでしたね、彗星。ハルヒがこの話を聞いていたらどうなっていたんだろう。

 涼宮ハルヒの憂鬱第八話感想
 いつも通り縦長警報。

 ・私は変態じゃない
 確かに芝居だったわけですが、たまたま当たっただけという感じ。
 まあ前編の情報だけで真相に辿り付いたら変態といっても、スタッフ側は時間の都合上あそこで区切っただけであって、最初から視聴者が前編を見て後編の内容を推理するのに適した構成にするつもり自体無かったのではないかと思いますが。
 「芝居」の裏付けを取るにはもうちょっと後編の伏線が必要になる。でも前編三十分ではそこまで入らない。

 私が芝居説をとったのは野球の時の古泉のセリフから。ハルヒを退屈させちゃいけないという事がわかったので今後は云々、とか言っていた筈。
 故に前編で提示された情報のみによって至れた推理っつーか予想ではなかったのでした。
 似たような事は前編でも言っていたんですが(よってコチラはさりげに伏線だったという事になるのだろう)、具体的にそういう目的で何らかの計画を立てる可能性が読み取れるのは野球の時の方だし。
 孤島症候群前後編の間にミステリックサインを挟んだ構成にしたのは、改めてSOS団の面々はハルヒを退屈させないために色々と骨を折っている事を思い出してもらう為だった……というのは考えすぎかな。
 それから芝居説をとったもうひとつの理由として、キョンと同じでハルヒが本当に人死にを望むような事などいくらなんでも無いだろうと最初から考えていた、というのもあります。

 ・古泉は大根役者?
 前編の感想にて気にしていた事ですが、まあ、あんま深く突っ込んじゃいけない事であるような気もする。或いはハルヒが用意したセリフを一字一句トレースさせた場合はああなってしまうだけだって事で辻褄は合うかもしれない?
 そういや、今回の館での仕掛け人の皆さんには決まった台本的なものは無かったんだろうね。
 何故なら仕掛け人はあの場に居た人間の半数程度であるわけだから、騙す相手が一人であった場合よりも予定外の行動に対処する頻度が高まるだろう。
 今回の企画に選ばれた仕掛け人の皆さんが選定されるに当たっては、ある程度の可能性を考慮に入れてフレキシブルに、かつ冷静に対応する能力が求められた、なんて舞台裏を想像してみたり。
 新川さん・森さんはぶっとんだハルヒの言動に大して長門もかくやというクールな対処をしていたし、多丸兄弟の圭一さんも前編の感想のお気に入りシーンにも有った通り、ハルヒの超言動に多少の間はあったが冷静に対処している。多分、裕さんもそのくらいの能力はあったのではないだろうか。古泉は元からタヌキですしね。

 ・前回着目したポイントについて

 「クローズドサークル」
 仕掛け人たちによって構築された限定的な世界。かといって嵐までは再現できまい。嵐が来なかった場合は裕さんが船を乗り去るという所までは同じだが、その際電話線を切断した、といったシナリオにでもなっていたのだろうか?
 ところでその嵐ですが、やはりハルヒが発生させたと解釈すべきだろうか。局所的な天候操作は長門の手法ではオススメできないとの事だったが、ハルヒの場合はどうなんだろうなあ。

 「圭一さんの好き嫌い」
 なるほど。実は生きている事の伏線に繋げたわけですな。

 「圭一さんの手帳」
 もしも芝居説が正しかった場合はこの手帳にそれっぽいギミックが仕込まれているんだろうなと思っていましたが、その通りだった。
 さりげなくSOS団のメンバーの前でこれを読んでいたり胸ポケットにしまう姿を見せたのは、そこに手帳があってもおかしくないという刷り込みが目的だろうか。
 つまりそうする事によって死体発見の場面で手帳への注目を回避、これを調べられてしまう可能性を減らしたかったとか。まあそこまでせずとも死体に刺さったナイフを抜いて手帳を調べるなんて真似が出来る人間なんてそうそう居ないと思いますが……用心にこしたことはないと。
 それでもなお手帳に手を伸ばされるような事があった場合は、新川さんあたりが止めたんだろうね。
 彼が圭一さんの脈をとろうとしたハルヒを制したのは、初っ端からタネがわれてしまいかねないような想定外の行動に対応する役割を負っていたからなのだろう。おそらくは古泉と森さんもそうだったのかな。

 「フリコミって詐欺?」
 一般的な詐欺と違って金銭的な損害があったわけではないが、ペテンにかけたという意味では合っている……が、結果的にそういえるだけで別に伏線って程でもなかったのかな、これは。

 「ハルヒが感じた違和感」
 違和感というか、単に走り出したは良いが何処に部屋があるのかわからなかったというだけの事か。よくよく考えてみるとちょっと間抜けだぞハルヒ。だがなんか彼女らしい。考え無しに突っ走るのが涼宮ハルヒだと思う。
 で、ここでまっすぐに圭一さんの部屋に向かう他の面々(というかその先頭の古泉)との対比に着目したのは悪くなかった。
 まあ結局この伏線の意味する所は読み取れませんでしたが。なぜなら種明かしの場面でも指摘されているように、古泉が圭一さんの部屋の場所を後から知った可能性もあるからなあ。
 「事件当日」に至ってもなお、古泉が圭一さんの部屋の場所を知らない筈であるという事を示す伏線があれば完璧だったかも。

 ・今週の長門さん
 扉を開けない長門さん。この場面を見てプログラミングを学び始めたばかりの人が、ちょっとしたミスから今回のハルヒのような目にあってそうだとなんとなく思ったり。
 キョンの命令を聞いた時の長門の表情は、ちょっと目が輝いていたように見えました。主の命令を聞いた時の忠犬のような印象を受けたのは私だけだろうか。やっぱり長門はキョンに対しては従順だ。
 ところでこの場面、単純にハルヒよりもキョンの言葉を優先している、とも考えましたが……それだけの事であった場合最初の命令を下した人物がキョンであったら、次にキョンが扉を開けるよう言ってもハルヒと同じ結果になるという事になる。
 が、あまり根拠は無いんだけど、そういったケースでも実際には長門は素直に次の命令も聞いたのではないだろうかと私は思った。
 極めて忠実に、というか額面通りに与えられた命令を実行するという点では変わらない。
 しかしハルヒからの命令の場合、ハルヒ自身の都合は考慮に入れず下された命令その物を重視する。
 対して、キョンからの命令には感情から従っているが故に、命令その物よりもキョン自身の都合を汲み取る。そういう違いがあるのではないだろうかと。

 ・今週のハルヒさん
 キョンの手をぎゅっと握るハルヒ。とても自然にそうしているのが良。ああ、出来る事ならその点を本人に突っ込んでみたい。
 そして握り返すキョン。その時のキョンはハルヒと居れば安全だろうとか理屈こねてるけど本当は……なんて思ったり。
 キョンを心配するハルヒと、その後無事を確認して安心した表情は最高に素晴らしかったと思う。個人的にキョンの言葉を聴いた瞬間の長門の顔のカットに匹敵するお気に入りカットです。
 下着を脱ぐのを躊躇するハルヒ。堂々と男子生徒の前で着替えを始める娘だったのに(私が彼女を我侭・自己中心的というよりは子供っぽいと感じた理由のひとつがこれ)、すっかりキョンの事を異性として意識していることの表れでしょうな。
 逆転裁判には無論大いに笑わせていただきました。そして最後にキョンを「ワトソン君」と呼ぶ際の得意げな声が可愛かった。

 ・今週のみくるさん
 寝てました。

 ・仕掛け人の皆さん
 さて、結局あの館の人達は古泉と同じ「機関」に属している面々だったって事らしいですが。それならば直接ハルヒと接触した感想を聞いてみたいなとちょっと思った。

 ・ホクロ
 最後の古泉との会話の際に見えた、キョンのホクロ(with 毛)。重大な事実を示す伏線か何かかと思って目を凝らしていただけに……脱力。

 ・オチ
 最後のオチはミステリーやサスペンスのお約束というよりは、ホラーのお約束みたいな感じでしたね。取り敢えず館が炎上しなくてよかったです。

 で、結局館には正体不明の人物が残っているのか?
 さてどうなんだろう。そもそもそんな人物は本当に存在したのだろうか。怪しい影をハルヒが発見したと思しき場面を何度も再生したりスローにしたり静止画にしてみたりしましたが、嵐というノイズが入っているとはいえそれっぽい人影は無かったように思うんですけどね。
 まあ私では見つけられなかっただけだという可能性もある。だとしてもハルヒが真相(実はお芝居でした)に気付いた時点でその謎の人物の存在も消失したのではないだろうか?
 ところでいかにもコナン的な真犯人の影が種明かしの直前に見られましたが、アレは裕さんじゃなくてこのハルヒが観測した謎の影だったという解釈は……あ、でもこの場面では既にハルヒは真相に気付いているんだったか。

  5/24 / 5/26 / 6/6



無題 06/6/6

 涼宮ハルヒの憂鬱第九話感想
 縦に長いよ警報。

 起承転結の転抜き? 特に何も起きない話。
 SOS団の日常は非日常にまみれてるようではあるが、それは単に作品化されているのがそういった出来事であるというだけの事であり、実際にはやはりこういった日常的光景の割合の方が高いのだろう。今回はそちらにスポットを当てたというわけなんでしょうね。
 こういうの、結構好きです。SOS団の非日常を観てきただけに、さて何も問題が発生していない時の彼らはどんな時間を過ごしているのだろうと、ちょっと興味があったのだ。

 もしかしたら原作者である谷川流さんが書いたからこそ、より光るケースであると言えるのかもしれない。
 何故なら既に存在している原作は、主に「物語」として成立する「非日常」にスポットが当てられているのだから、第三者が書く場合それらを元に「物語」にはならない「日常」を想像して書かざるを得ない。
 対して原作者であれば、これまでは作品というカタチにはしていなかったSOS団の「日常」とて熟知している筈。故に谷川さんは原作者だからこそ一番上手く描けるものを描いた事になるのではないだろうかと思いました。

 演出面も通常のエピソードの時とはかなり方向性が違っていたと思う。
 例えば部室全体が見渡せる構図などをはじめとして、特にひねりの無い構図で描かれている時間が長い。そして「物語」を描く場合であれば特に必要の無いシーンが延々と映し出されている。
 けなしているのではありません。むしろだからこそ良いのだと思ったわけです。今回は普段のエピソードにおいてはストーリー上必要が無いから描かれなかった、本来はあった筈であろうキョン達の挙動を見せるのが目的の話でもあると思うので。
 効率よくストーリーを盛り上げ視聴者を楽しませるのではなく、視聴者に作品世界のありのままの姿をただ「見て」もらう為の、意図的に平坦にした演出なのではないか。
 私たちが普段知覚している現実は、ここぞという場面で凝った構図に切り替わったり特殊効果が入ったりはしない。今回の演出はその現実世界に比較的近い為、視聴者は作品世界にシンクロしやすいのではないかと思った。

 ところで今回既に述べた演出上の問題で、固定カメラで撮影したかのような構図(カメラを設置できそうな場所からの視点から動かない)で描かれている割合が高いですね。
 ふと思ったのですが、特にキョンが居ない、或いは眠っている場面でそうである傾向が高い。彼が視聴者(原作なら読者)の代理であるという構造を意識した演出なんだろうかね。
 そういやみくるを撮影している場面でも基本的にカメラの映像のみで、撮影を行っている当人たち全員の姿が見られる構図では描かれていないですね。これも前述の点と絡めての事なのだろうか、などと思ったりもしましたが。

 ・その他感想
 提供クレジットのバックの横向きねこマンの平べったさにいきなり笑わされた。
 部室内に色々と物が増えてる。原作を読んでいると(途中までしか読んでいない私でも)にやりとさせられる。
 着替えが始まると察するや、言われずとも外に出る古泉。もうとっくに慣れっこなんだな(笑)
 電気屋のおっちゃんはだいぶ人が良いように思える。良すぎて商売人には向いてないんじゃないかと。店がイマイチ儲かってない理由もその辺にあるんじゃあ……。
 撮影の場面ですが、標準モードで録画してるあたりやっぱりハルヒは本気なのだろう。この場面で撮影した数々のシーンは実際にDVDの特典映像として収録されたりするんだろうか?

 ・今週のハルヒさん
 登場時、さりげに手にした携帯にはねこマンストラップがっ。
 椅子に胡坐かく動作がなんだかかわいい。
 みくるがキョンにマフラーを巻いてやる所を見て嫉妬する場面。口から覗く犬歯がステキ。
 眠っているキョンにカーディガンをかけてやるハルヒ。「一枚目」にちょっと対抗意識を燃やしたのだと考えるとかわいい。
 ところであれらのカーディガンは学校指定の物なんだろうか? ハルヒと長門とみくるでそれぞれ違うのを着てたら、キョンがもう一枚は誰だろう、などと思うような事はないだろうし。
 そしてハルヒは何に動揺していたのだろう。カーディガンをかけた直後に目を覚ましたから……というわけではなさそうかな。キョンが目を覚ますまでにそれなりの間があるから。
 寝顔をじーっと見つめていた事に気付かれたかと思って動揺していたといったところだろうか。仮にそうだとしたら、実はハルヒは孤島症候群の時に撮ったキョンの寝顔の写真を大事に保管しているのではなかろうか、などと妄想した。
 ……或いはキスしようとしてたってのも(更に妄想)。
 そして最後のあかんべーをしているハルヒがかわいかった。「転」はありませんでしたが、「結」は素晴らしかったですね。

 ・今週のみくるさん
 ハルヒに言われるまでもなくお茶の用意をするみくる。「はいはい」という声がかわいらしいです。
 キョンにマフラーを……この場面、新妻みたいだと思った。いや、メイド服を着てるんだけど私はそっちの方を連想しました。
 撮影時の「ひょえ〜」などの弱気な声の数々。そして「ノー」という悲鳴がちょっとツボ。なんで英語なんだ。
 なお、ハルヒ曰く惚れ惚れするくらいのドジッ娘ぶりで、ひょっとしてわざとやってるんじゃないかとの事ですが、それはあり得ないとこの作品のファンとしては新参者でありながらも強く確信できます。
 バトンの場面を見て、野球やらせたら宇野エラーのスペシャリストとして間違った方向に活躍してくれただろうに、第四話ではそれが無かったのがちょっと残念だと思った。

 ・今週の長門さん
 上の方でも述べたように、今回のような演出だと彼女がいかに動かないかが通常時に比べてよく実感できる。
 本を交換する場面ですが、もっとササッと本をしまって次の本を取り出すかと思っていた。私のイメージの中の彼女に比べて結構時間をかけて本を選んでいるように見える。
 これはキョンたちと触れ合った結果段々と人間味が出てきた事のあらわれである……という解釈はありだろうか? そして本の交換のタイミングが絶妙だ。
 延々と読書している長門が映されているだけの場面のバックで流れているネタの数々、最初ラジオか何かだと思ってましたがよくよく考えてみると誰かがラジオのスイッチを入れる場面が無い。付近で演劇部あたりが練習しているという事だろうか。
 あのネタ、全部脚本の谷川流さんが考えたのか、それとも演出担当の方が考えたのか、或いは声優さんのアドリブなのか。最後だけ長門が動きを見せたけど……「鍋」に反応した? いや違うか??
 というか本読むの速いですね。私など二、三分はページ捲らないので。
 キョンに対してはハルヒたちの場所を教えない長門。……一緒に居たかったからだと妄想してみる。キョンなら場所を教えたら、ハルヒがみくるに無茶しているだろうからと止めにいく可能性はありそうだし。実際にはくたびれててそんな元気は無さそうでしたが、可能性の問題として。
 ここで首をくりっとかしげる(?)仕草が好きです。かわいい。
 カーディガンの一枚目はやはり長門なのだろう。みくるのマフラー、鶴屋さんのハンカチ、長門とハルヒのカーディガンと、キョンってば大事にされてるなあ。
 さりげにストーブの位置がよりキョンの近くへと移動されているのが気になった。これも長門がやったのかな。意表を突いて今回キョンをこれといって労っていなかった古泉だというのは……いや、やはり長門であって欲しい(笑)
 で、今週画面に映し出されている割合は結構高かった割には全くセリフが無かった事実に気付いて驚く。エンディングクレジットにも長門の名前と彼女を演じる茅原実里さんの名前がない。
 ……長門って出演時間とセリフの量が反比例するのだろうか。

  5/24 / 5/26 / 6/6


戻る